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映画『愛その他の悪霊について』イルダ・イダルゴ監督

映画『愛その他の悪霊について』イルダ・イダルゴ監督 
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 原作は同名のガブリエル・ガルシア=マルケスの小説。語りの豊潤と挿話の神秘性、個性的な登場人物というガルシア=マルケス・ワールドが凝縮された小説だが、映画はすっかり筋立てに追われて美味の薄い作品としかいいようがない。
 小説の面白さを一方的な私見で書いてもしょうがいないので客観的に邦訳を出している新潮社の「案内」を引き出す。
 「18世紀半ば、スペイン王国領だったコロンビアの、城壁に囲まれた町で。狂犬に咬まれた侯爵の一人娘に、悪魔憑きの徴候が。有為の青年神父が悪魔祓いの命を受ける。激しく対峙した二人は、やがて激しく惹かれ合い……。大作『コレラの時代の愛』と近作『わが悲しき娼婦たちの思い出』の架け橋とも言うべき、うるわしき哀歌。」
 コロンビアの世界遺産都市カルタヘナの遺構をそのままロケして植民地時代の雰囲気はよく醸し出されているけれど、肉食系の話が草食系のものになってしまった、という印象。こんな巧みな題材はそうとうシュールに、あるいはルイス・ブニュエル風に混乱してもいっこうに構わないはずだが、女性監督イルダは、主人公12歳の美少女の心と肉体の揺れといった静謐な波動に寄り添って描こうとして、同時代の矛盾なるがゆえの、それ自体が蠱惑的な混沌から浮き上がってしまった。
 こうした映像化もガルシア=マルケス理解であろうが、これでは批評行為だ。彼の文学を映像化する際、批評はいらない……という前提を無視すれば平板になるしかない。
 湿潤な大気の気配、熱帯雨林から流れ出す臭気、混沌とした矛盾の密林をなめ回して創話していけば、そこに物語は悠揚とリズムを刻んで流れ出す。
 本作が一般上映されず、どこかの女性映画監督特集とかで公開されて以来、スクリーンに投射される機会がないままDVD化されたのは当然だと思う。ただし主演の美少女役のエリサ・トリアナの寡黙な気配はなかなか良いのであるが。
 

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