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書評『ナマコを歩く』 赤嶺淳・著

書評『ナマコを歩く』 赤嶺淳・著
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 中国は昔もいまも世界一のナマコ消費国だ。特に開放経済の下、右肩上がりで経済力をつけるのと軌を一にして高級食材のナマコの輸入量が増えた。世界中の浅い海に棲むナマコは中国人の豊かな舌を目指して乱獲されるようになった。その弊害を論じながら、ナマコ漁をルポしたのが本書。
 ガラパゴス諸島(エクアドル)ではナマコ漁を巡って「ナマコ戦争」と呼ばれる紛争が起きた。1991年、同島でのナマコ漁がはじまった。当時、どれくらい漁獲高があったのか正確な数字はないが、たとえば乱獲が規制された94年の調査では、たった2カ月間で1千万尾が漁獲されたというから、規制のなかったときの漁獲高はそうとうなものであったはずだ。ナマコは同島で輸出向けに乾燥された。その間、漁民たちは自分たちの食を満たすため保護動物のゾウカメを捕獲して食べた。恐ろしい話だが、こういう話は世界中にいくらでもある。
大航海時代、西欧の船乗りたちは実に贅沢に未開地の動物を食して回った。大航海時代とは世界中の珍獣・珍鳥のなかで肉が美味だったために絶滅するか、絶滅種になった生態系激変した時代でもあった.
ガラパゴス諸島もそういう時代に〈発見〉され飲料水と食料の補給基地となった。その諸島で捕獲された動物たちの数を誰が知る・・・。
 そして今日のグローバリゼーションは生き物になくてはならない水、そして空気まで汚染して時代ということになるだろう。そしてこの時代、中国経済の肥大化は、中国人の舌をさらにどん欲させ、ついにダーウィンの島まで侵す、という話だ。
 ガラパゴスを国際的な観光地として外貨稼ぎのために整備したのは政府であり大手観光業者であった。ゆえに島は荒れた。ツーリズムに迎合して“自然保護”を旗頭にエクアドル政府は零細漁民を追い出すナマコ漁規制を制定した。それに対し漁民はゾウガメの殺戮も辞さないと抵抗したのが「ナマコ戦争」。結果、捕獲量を制限することによって漁民の生存権は守られた。
 ナマコを通して中国経済の肥大化が及ぼす世界の食糧事情の変遷を知る。と同時に環境保護派の訴える「保護」がときに地元住民の文化と相容れないドグマ的な「正論」である、と告発される。世界の現在を知る労作だ。    ▼新泉社刊。2600円。

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