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アメリカ大陸の先住民の抵抗はいまもつづく 南米チリ

アメリカ大陸の先住民の抵抗はいまもつづく
 チリ・マプチェ族出身の学生活動家、警察に射殺される

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*民族衣装を身に着けたマプチェの女性たち

 1月3日、チリ最大の先住民集団マプチェ族出身の学生マティアス・カトリレオさん(22)が、南部アラウカニア地方の住宅街で警察官によって射殺された。近年、同国の資本家たちが環境を無視した乱開発を行なっている地域だ。カトリレオさんは、そうした開発を実力で止めようと活動する学生のひとりだった。同国はこの事件を契機に先住民の土地を守る闘争への関心が高まっている。 
 マプチェ族……武勇に富んだ栄光の先住民民族である。ラテンアメリカ史に少しでも関心を持つ者なら、コロンブスの時代から19世紀の後期まで、他民族の侵略に抵抗しつづけた勇猛果敢な誇り高き民族として知られる。長い抵抗の歴史をもつということは、その民族に独自の強固な文化が存在し、民族の血となり肉となっているということだ。
 チリがスペインの植民地となる以前も、アンデス高地から領土を拡張するインカ帝国軍の侵入に対して戦っていた。現在、チリに約60万、隣国アルゼンチンに約30万が暮らす。
 1970年、チリ社会党の党首アジェンデ大統領を中心とする人民連合政府の誕生前夜、マプチェ族は人権回復の好機とみて献身的に活動した者が多くでた。そのためピノチェット将軍による軍事クーデターで人民連合政府が倒れた後、弾圧の標的にされ、彼の土地も奪われた。
 カトリレオさんの死を語る前に、一昨年八月、世界中で注目されたチリの炭鉱で起きた落盤事故、そして六十九日間に渡って作業員33人が地下700メートルの闇に閉じ込められ後、救出されたドラマを思い出してもらいたい。一人も欠けることなく創意工夫された救出劇はハリウッドで映画化が検討されたぐらい感動を与えた。しかし、この救出劇は同時にマプチェ族の決死の活動を内外の目からそらすことになっていた。
 炭鉱夫の救出を指導したピニェラ同国大統領は世界有数の資産家として知られる中道右派の政治家、市場経済主義者だ。TPPの原加盟国として、昨年11月のハワイ・ホノルルの会議でも積極的推進派として参加している。
 二〇一〇年三月に大統領に就任すると、マプチェ族に先住特権のある森林地帯を広範囲に埋没させる水力発電所建設を提言し、先住民だけでなく環境保護派の猛反対を受けた。発電所計画だけではなく、マプチェの大地は絶えず開発の名のもとに自然が破壊されてきた。もちろん、誇り高いマプチェ族は手をこまねいて座視はしなかった。急進的な活動家グループが実力行動で開発を阻止しようと、企業経営の林地や倉庫などに放火するなどして抵抗した。これに対して、政府は軍政時代の“負の遺産”ともいえる「反テロリスト法」を拡大解釈して活動家を逮捕し、刑務所に収監した。その先住民受刑者たちは獄中でも活動を中断させることはなかった。当局の弾圧を告発するとともに先住民の人権擁護などを訴えてハンガーストライキを行なった。そのストライキの時期が、生き埋めとなった炭鉱夫の救出劇の時期と重なった。内外メディアは先住民活動家のハンガーストライキを注目することはなかったのだ。
 カトリレオさん暗殺の真相は不明だが、彼が獄中の同胞と連帯して活動していたことは確かだ。遺体は警察に引き渡せば証拠隠滅される恐れがあるとして、活動家が隠している。現在、事件解明のためにアムネスティ・インターナショナルを含む非政府組織が連動することが確認されており、そのメンバーにはピノチェット元大統領を人権犯罪の容疑で訴追した元裁判官も参加している。
 カトリレオさんの死はチリだけでなく、南北アメリカ大陸諸国各地で“母なる大地”の返還を求めて闘っている先住民集団に影響を与えるだろう。コロンブスの時代からアメリカ大陸の先住民たちは強いられた闘争をいまも生命を賭けて闘いつづけている。200px-Flag_of_the_Mapuches_svg.png
*マプチェの自治権の主張を象徴する“民族旗”

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