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旧作映画・備忘録 C

旧作映画・備忘録 C
▽『ザ・メキシカン』 ゴア・ヴァー・ビンスキー監督
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米墨国境約3000キロは物語と神話の淀んだ泉だ。世界一富める国と、南からおう吐のように押し上げる貧困とはせめぎ合う場でもある。ハリウッド映画は国境地帯を舞台にして無数のシナリオを創出し、映像化してきた。ハリウッドはもともとメキシコ領だったから、米国独立時代からそこに多くの“ラティーノ”が住んでいたから南を舞台にした映画の人材には事欠かなかった。米国人俳優はスペイン語を解せなかったが、ラティーノたちはほとんどバイリンガルだ。しかも廉価な労働力として活用できるのであれば、ハリウッドは見逃さない。
 本作にもメキシコではおなじみの俳優たちが随所に出てくる。彼らはみなバイリンガルだから、下手なスペイン語も話せないブラッド・ピットもジュリアン・ロバーツも大いに助けられる。もともと、売れる二人を主人公にしての企画ということだろう。メキシコを主たる舞台にすれば、たぐいまれな美しい拳銃の神話という素材もにわかに現実味を帯びてくる。米国にあってはリアリティのない素材も、何故かメキシコの土俗を背景にするともっともらしいミステリアスなエピソードとなってしまう。
 話のタテ筋はなんともつまらないものなのだが、メキシコを舞台にすることによって映像は叙事詩になってしまう。そういう好例として本作をみた。

▽『ルーフトップ』ロバート・ワイズ監督
 巨匠の名をほしいままにしたロバート・ワイズ監督が最晩年に撮った青春映画である。老いを感じさせない、むしろ無縁といった覇気を感じさせる作品だが、スケールの小さなテレビドラマといってもよい作品だった。
 ミュージカル映画の古典ともいうべき『ウエストサイド物語』を撮った監督は、最晩年のその映画歴を閉じようという時期になって撮ったのが、かつての名作とおなじNYの下町。『ウエスト~』はイタリア系移民とプエルトリコ系移民の子弟たち、悪人にはほど遠いチンピラたちの児戯に等しい対立のなかで若者らしい恋物語などを綴った作品だったが、本作もまたプエルトリコ系をはじめとするラテン系、カポエイラがうまく取り込まれているのでブラジル移民の子もいるという設定だ。米国に遅れて着いたものたち、その子弟たちはいつも自らのアイデンティティの確立、自立に悩む。それは時に暴力のカタチになって現れたり、恋によって成就するものだったりするわけだ。『ウエスト~』は圧倒的なダンスシーンと名曲によって、小さな没個性的ともいえる青春劇が活気付けられたわけだが、この映画には歌も踊りもない分、なんともこじんまりしている。しかし、ワイズ監督がその映画人としての仕上げにNYの下町の現在を検証したように綴った誠実な演出に、この監督のヒューマンばアメリカイズムといったものが象徴されているように思った。

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