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公開講演会「問いつづけた原子力ー雑誌『技術と人間』が残したもの

公開講演会「問いつづけた原子力ー雑誌『技術と人間』が残したもの

 1972年の創刊以来、一貫して原子力開発に反対の論陣を張ってきた雑誌『技術と人間』。
2005年に終刊を迎えるまで同誌に掲載された原発関連の論文は750編。そのなかから厳選された論文36編を集めた「『技術と人間』論文選~問いつづけた原子力」が刊行された。
その編集に携わった天笠啓祐さん(市民バイオテクロノロジー情報室代表)と西尾漠さん(原子力資料情報室共同代表)の発言者とする講演会が9月15日、東京・池袋の立教大学で行なわれた。

 天笠さんは『技術と人間』が創刊される前の「0号」から編集に携わり終刊まで見届けた同誌の“生き字引”のような存在。アグネという企業から多くの広告収入を得ていた技術系出版社から発刊された。
しかし、技術の発展と人間社会の関わりを問うという編集方針を貫いたため、企業告発型の記事がならび、やがて広告が集まらなくなった。そのため雑誌の刊行を維持するために出版社から独立、困難な経営にも関わらず33年間も続いた。天笠さんは経営の苦しさを語りながら、手弁当で協力してくれた多くの執筆者のことを紹介してくれた。
 「建設途上の福島第一原発の取材もした」と今では破壊され、見る影もなくなった原発内部の写真を紹介した。スライドに映し出された写真はすべて同誌に掲載されたものだ。
「スリーマイル島原発事故、チェルノブイリ原発事故を詳細に検証してきたし、チェルノブイリの事故が起きた4月には毎年関連論文を掲載してきたが、フクシマを体験した現在、原発事故とは実際、体験してみないと、どういうものか分からないことを知った」と自戒を込めるように語ったのが印象的だった。
 「結局、外国の事故は対岸の火事のようなもので、本当の痛みは分からなかった。いま、定期的に福島の二本松市で母親たちの健康相談に立ち会っているが、子を持つ母親の立場と、自分の畑で採れる野菜を“新鮮”だ、と食べさせようとする祖父母世代との意識のかい離など、そういうことまで雑誌で考慮されたことはなかった。自治体がまるごと疎開することがどういうことなのか事故が起きてはじめて知り、この先、どうなっていくのかも見当もつかない、ということを知った」
 創刊と同時に熱心な読者となりやがて寄稿者となり、反原発活動の市民的な拠点となった原子力資料情報室へ参加、『はんげんぱつ新聞』編集長などを歴任した西尾漠さんは、
 「『技術と人間』が創刊された当時、一般の原発に対する認識は非常に小さなものだった。危険性を具体的に示すメディアもなかった。その意味でも同誌の存在は貴重なものだった。創刊された1972年、日本の原発は5基しかなかったが現在は50基。発電能力でいえば25倍に達した。その数の増加という事実だけみれば、われわれは負け戦してきたのかも知れない。けれど、それらの原発はみな雑誌の創刊前に計画されたものだ。創刊以後に浮上した原発建設は21カ所もあるが、すべて阻止されている。建設予定地の住民の運動が功を奏したものだが、反対運動に対し、『技術と人間』が科学的な根拠を与えた意味は大きかったと思う。しかし、それでもフクシマは起きた」
 講演後の質疑応答の場では、現在、被災地で起きている除洗問題が取り上げられ、会場からの質問に答えるかたちで天笠さんは、「“除洗”ではなく“移洗”すぎない。道路を洗った水は排水溝に流され、その放射能まみれの水は川に注ぎ、川を汚しながら、海に出てまた汚しつづける。山の汚染はさらに深刻だ。山ごと“除洗”することなどできない。葉を汚染した放射能が、落ち葉から腐葉土となっても生き残る。そして根に浸透し、また新しい葉を汚す。そういう連鎖に入っている」と語った他、会場からは“除洗”事業をめぐって醜い利権争いまで生じていることが指摘された。
 西尾さんはまた、「現在、大飯原発を除いてみな稼働していない。廃炉を政策に盛り込めという運動は無論、継続するが、再稼働を認めない、この状態を続けさせる方が運動としては効率が良く、賢い。再稼働反対は現在、国民の声になっている。この状態を持続させるために知恵を働かすべきだと私は思う」と語った。長い間、困難な市民活動に携わってきた活動家の発言だと思った。

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