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シンポジウム「暮らしを軸とした労働の再編]

シンポジウム「暮らしを軸とした労働の再編 ~ニューオリンズ洪水と東日本大震災の復興の経験から」

 いま派遣・アルバイト等、劣悪な雇用状態のなかで働く人が急増している。こうした無権利状態に晒されている労働弱者を組織化する活動は日本でも成果をあげているが、米国でそうした労働者50万人の組織化に成功した地域社会組織同盟(ACORN)という新思考の労組がある。ここでチーフオルガナイザーを務めたウェイド・ラスキ氏を招いたシンポジウムが東京・お茶の水の明治大学で10月18日、行なわれた。

 シンポジウムには日本側から連合で非正規労働センター長などを歴任した龍井葉二・連合総研副所長の龍井葉二、小畑精武・江戸川ユニオン副委員長、河添誠・首都圏ユニオン書記長、高成田健・ワーカーズコープ・センター事業中四国事業本部本部長に、主催者側から明治大学の労働教育メディア研究センター代表の山崎憲・経営学部教授らが参加した。
 ラスキ氏の報告「アメリカにおける労働組合および新しい労働組織の展開」は様ざまな創意工夫のなかで従来の労働運動の在り方を変え、現在も参加労働者を増やし、地域における社会活動にも貢献しているオルガナイザーの報告として示唆に富むものだった。
 「38年前、アーカンソー州の低所得者白人・黒人公営住宅でゼロから私たちの活動は出発した。わずかな会費を持ち寄って、その資金で活動を開始した。むろん困難もあったが結果として現在38州、600以上の地域社会組織、2つのラジオ局や住宅開発といった事業も運営している。営利も追究し、政治的な活動も会員の意見を集約するかたちで行ない、先のオバマ大統領実現には一定の役割を果たしたと思う」と活動を紹介したあと、現在、地球規模で取り組んでいる「送金」問題に触れた。
 「米国には南の途上国から出稼ぎにきている労働者が多い。彼らと労働運動を通して触れ合うなかで、彼らが母国に送る送金の実態を知った。これは日本にも存在する問題だ。先進国で過酷な労働に耐え蓄えたお金が、不当な手数料をとる業者によって搾取されている実態がある。送金額の20%も手数料をとる業者は少ない。これを適正な価格に是正する取組みを行なっている。私たちは手数料5%まで引き下げる目標で闘っている。多くの途上国はこの送金で成り立っているところが多い。国づくりにも貢献する活動だと思っている」
 この送金問題を解決すべくラスキ氏の活動は、米国へもっとも多くの労働者を送り出しているラテンアメリカ諸国からアジア、アフリカ諸国に及び、地球上を奔走している印象だ。
 また社会活動として2006年、ハリケーンで大洪水にあったニューオリンズの低所得者層地域における再建に関わり、継続的な支援を行なっていることも紹介した。
 「地球温暖化によって現在、地球のあらゆる地域で大きな自然災害が起こる可能性がある。これに備える態勢を作っておくのは政治の役割だが、私たちも無関心ではいられない。災害の記憶が遠ざかるごとにボランティアの数は減ってゆく。そうしたなかで継続的に支援できる態勢をどう作るか問われている」として、災害から6年たった現在もニューオリンズでさまざまな活動を続けていることを紹介し、あわせて阪神淡路大震災における神戸市民の取組みが、ニューオリンズの復興支援に掛け替えのない示唆を与えてくれたことも報告された。
 シンポジウムはラスキ氏の報告を受ける形で行なわれた。日本側の報告は、それぞれの活動によって把握された具体的な事例で貴重なものであった。

 日本側の発言者のなかでもっとも詳細に未組織労働者が直面している過酷な雇用状況を報告したのは河添首都圏ユニオン書記長だった。
 「都内の最低賃金は自給850円。年間を通じて働いても200万円にも届かないが、実際はもっと過酷だ。転職が常態の非正規労働者には失業手当はなく、平均すれば年間100万円以下の収入しかない。非正規労働者の80%が置かれている現状だ。私たちは雇用制度を改善しなければ貧困問題は解決しないと考え、それを訴え活動の中心にしている」

 シンポジウムは、東日本大震災とニューオリンズ洪水の復興支援に労働組合はどう取り組みべきかという問題があったが、日本側の発言で際立ったのは現在の雇用情勢の深刻化ばかりだった。そして、この問題だけでも論議未消化に終わり、労働者の復興支援とはまったくリンクしなかった。同シンポジウムを企画した大学サイドの現状認識は甘すぎるという印象をもたざるえなかった。米国のACORNの活動に範を求めようというなら、論議を尽くすべく未組織労働者の問題と復興支援は切り離すべきだった。しかし、それぞれの発言は現場感覚の優れた貴重なものだった。

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