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チリ映画『ヴィオレータ、天国へ』(アン ドレス・ウッド監督)

チリ
 一般公開が望まれるチリ映画『ビオレッタ、天国へ』
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 今秋(2012)の「ラテンビート映画祭」で上映された切り一般上映も決まらずに事実上、お蔵入りしていたチリ映画『ヴィオレータ、天国へ』(アンドレス・ウッド監督)が先日、撮影を担当したミゲル・リッテン監督を
迎え、東京・市ヶ谷のセルバンテス文化センターで再映された。
 チリが生んだ偉大な歌手ヴィオレータ・パラの起伏に富んだ熱情的な生涯を語り下ろした秀作。年代記風に綴った凡庸な評伝ではない。たとえパラの歌、チリという国、ラテンアメリカの風土や文化、政治を知らなくても才能に満ちた女の愛と表現活動を冷徹に、しかし愛情をこめて映し出した映画として普遍的な力をもつ作品だ。そんな映画が現在、一般公開の目途がまったく立っていないのであらためて紹介したいと思った。
 チリの傑出した女性の名を上げようといえば、ラテンアメリカの文化を少しでも知る者なら誰でも第2次大戦後、初のノーベル文学賞受賞者となった詩人ガブリエラ・ミストラルを上げ、間髪を入れずヴィオレータを上げるだろ。
 南北にながい母国を旅し口承としてしか遺されていない民謡を無数に発掘、民族遺産として記録し研究し、そして歌ったヴィオレータを人は歌手と定義する。一方、その豊かな才能は手芸、刺繍、とくにタペストリー作家として著名で、パリ・ルーブル美術館にもその作品は収蔵されている。表現欲求の赴くまま、絵や彫刻にも手を染めた。まで表現活動を拡張していった。ということを知れば、歌手とだけ安住させることはできないだろう。しかし、いわゆる簡素なテントづくりの歌を聴かせる飲食堂ベーニャをつくり経営したヴィオレータはやはり音楽にもっとも愛情を注いだことはまちがない。
 しかし、ヴォレッタという偉大な才能も、愛の亀裂にはあまりにも脆かった。ピストルで自ら打ち抜いて、地から飛翔し、去った。

 リッテン氏によればのウッド監督とともに長年あたためてきた企画だったという。何より、主演女優の選定に苦労したようだ。
 主演のフランシスカ・ガヴィランを見い出したとき、そのカメラテストでヴィオレータが蘇生するさまをみて狂喜したと伝えられる。
 歌う場面では当初、ヴィオレータの歌をそのまま使うつもりだったという。ところが主演のフランシスかすべて歌い通すことになった。それが素晴らしい。あたらしいヴィオレータ解釈となっているが、スペイン語圏の映画賞では、その熱演が称賛され多くの賞を獲得した。ヴィオレータの乾いた少々、突き放したような歌唱を知るものには、フタンシスカの歌は穏やかで、そこにヴィオレタへの共感が滲みでている。

 ミゲル・リッテン監督は、日本でも公開されたニカラグア映画『アルシノとコンドル』や、ガルシア・マルケスのルポでも知られる『戒厳令チリ潜入記』を撮ったミゲル・リッテン監督の同姓同名の長子である。
 現在、本作に触手を伸ばす配給会社は皆無だという。是非、本誌『ラティーナ』を通じてあらためて本作を知らしめたいという義憤から、これを書いた。

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