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花もつ女たち №24 ジャンヌ・ダルク

ジャンヌ・ダルク
 (フランス*殉教者 1412~1431)

 殉教者という仕事はむろん存在しない。フランスの軍人と書かれることもある。「フランス救国の英雄」というのがいちばんふさわしい形容だろう。
 確かにジャンヌ・ダルク英雄譚は白銀の甲冑に身を固め、イングランド占領軍に対し果敢に戦闘を指揮し打ち破った史実があるから軍人といえる。しかし、ジャンヌが軍にあったのは半年足らずだ。
 その間の功績は“奇跡”的勝利を実現したあっぱれな軍功者であった。といっても卓抜した戦術をもっていたわけでもないし、重い武具を支えるのがやっとのジャンヌが自由に鉄剣をあやつることも不可能だろう。彼女の役目はあくまで兵士たちの前に捨て身で身をさらす勇気、そして精神的な支柱としての強靭さであった。
 しかし、フランス内での権力闘争のあおりを受けてイングランド軍に捕らえられる。それから、火あぶりの刑に処せされるまでの約1年、宗教裁判の被告であり俘虜として辛酸を嘗め尽くす。戦場より俘虜生活のほうが長かったジャンヌ。栄光と挫折、わずか19年をもって一期としたジャンヌの物語ほど劇的生涯はないだろう。
 ジャンヌを主人公にした映画は25本撮られているそうだ。映画黎明期に早くも登場し、今日までさまざまなジャンヌ像が描かれてきたのも、その叙事的な生涯の反映である。全盛期のイングリット・バーグマンが演じたジャンヌ像は忘れがたい。
 身を挺して戦った救国の英雄としてジャンヌを顕彰するフランスはともかく、非キリスト教圏でもジャンヌが語られるのは何故だろう。日本でも明治初期に紹介されている。
 現実の男性優位の社会において、若い女性たちはジャンヌの物語に自身を投影してきたからではないのか? ローレンス地方ドンレミーという名も知れぬ村の農民の娘が王室に詣で、軍功を立てるまでの幾つかの奇跡譚は、乱世でしか起こりえないもの。平時の身分社会は動じない。しかし、国土が他国の軍馬に侵食され、危機的状況だからこそ階層は揺らぐ。そこにジャンヌが出てくる土壌があった。
 堅固にシステム化された社会では今日のジャンヌはときにドン・キホーテにならざるえない。
 聖女ジャンヌは野心と意欲をもつ若い女性にとって永遠の“殉教者”なのだろう。

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