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橋本勝さん*ニッコリ笑ったテロリズム

インタビュー 橋本勝さん

 風刺を「ニッコリ笑ったテロリズム」と評した詩人がいた。橋本勝さんの作品をみるたびに、それを思い出す。
 テロリストはたいてい若い、血気盛んな青年であり、懐剣は鋭い、というのが芸術の世界である。
 橋本さんは10代の後半にはすでに作品を発表していた。その頃の風刺性は成熟こそすれ、70歳を迎えたいまもいささかも衰えていないように思える。

 橋本さんの作品に筆者がはじめ触れたのはいまは存在しないATG映画のプログラムに掲載されていたB5判ほど誌面の3分の1大で掲載されていたイラストであった。そこで観た橋本流ともいうべき鋭敏な線、するどい風刺性、限られた紙幅に要約された象徴性……最近著でも、それがいささかも変わらない。

 「すこぶる単純な動機からです、描きはじめたのは・・・気にいった映画、好きな映画、自分の感動を自分なりの方法で伝えたい、と思いました。それがぼくの出発でしたね」
 
 橋本さんが絵で批評した映画はたいてい社会派、分かりやすく古典的名作でいえばチャップリンの『独裁者』。むろん橋本さんもチャップリンへの敬愛も強く、繰り返しチャップリン映画を取り上げている。
 こうした映画に対する批評は橋本さんの重要な仕事となっていき、いまも続いている。映画の試写室で良くお会いするし、その後でお茶しながら、見てきたばかりの作品を語り合う時間をもつことになる。それは充実した時間だ。

 60年代後半から70年代、日本は政治的 な季節だった。当時、デビューしたばかりの橋本さんが社会風刺に手を染めるのは必然だった。それ以降、橋本さんは連綿と描きつづけている。40年以上の活動歴だ。そして、いまも表現力はいささかも衰えない。

 「ぼくは年金もないですから死ぬまで働くしかないですよ」と自嘲気味にいうが、おそらく、そうした生活の切迫感、飢餓感も作品にいまも鋭さを与えているのだと思う。だから、橋本さんの描く社会風刺はテロリズムの刃を持っている。

 「いま新聞などにある時事漫画は風刺性はまったく希薄ですね。あれは時事漫画ではなく、“時局”漫画です。だから、その時局が経過してしまえば存在価値がなくなるんです」。卓見だと思う。

 橋本さんの視点は時局を一度、客観視して未来を見つめる。だから、その作品はいまも今日的な力を持つ。
 この新著の前 に橋本さんには『20世紀の366日』という著書がある。1年366日を歴史的な事件で日めくりのようにした作品だが、そこには確かデビュー当時の作品が収められているぐらいだ。つまり約40年という歳月を経ながら、力を失っていない。

 「社会風刺画家の義務のようなものを感じて2001年の元旦から毎日一点、作品を描き出したのです。そして、1年が終わったら、1冊の本にまとめはじめたのです。2003年まで本にしましたが、出版不況のなかで頓挫しました」 

 しかし、橋本さんは描きつづけた。
 その21世紀の作品群から厳選した366日(枚)が本書である。橋本さんの仕事は現在進行形でいまもつづいている。
 ▽第三書館刊。1400円。

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