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映画「よりよき人生」セドリック・カーン監督(フランス映画)

 映画「よりよき人生」セドリック・カーン監督
映画「よりよき人生」

 アメリカイズムの美点を、誰でも同じようなチャンスが与えられるという根も葉もない平等神話で飾ってきた。
 タレント性豊かな者には通用するだろう、チャンスがあれば。野球にバスケット・ボール、あるいはアメリカン・フットボール、ジャズやR&B、そしてヒップポップ、ダンサー、映画俳優・・・・・・たしかに多くの非白人のタレントが大活躍している。目立つが、それは一握りの存在でしかない。
 チャンスとは稀少の機会をいうものだ。貧しい者は出発から大きなハンディがある。スタートラインは歪だ。平等なスタートラインがあるのは競技場のなかだけだ。在りえない平等だから「神話」なのだ。
 世界に伝播した米国流ネオリベラリズムは、その不公平さを露呈させた。
 本作は米国流のネオリベラリズムを受け入れたフランスにおける厳しさを描く。
 シェフを目指すヤン青年(ギョーム・カネ)は失業中だ。不況は彼を職場から追い出した。レバノンから何らかの理由でフランスにやってきて低賃金のウェイトレスとして働くシングルマザーのナディア(レイク・ベクティ)と知り合い恋に落ちたことがきっかけで、小さなレストランを開くことを企てる。 ヤン35歳の一か八かの賭け。しかし、自己資金はゼロ。複数の銀行から金を借りリボリング払いにした。しかし、店の改装などでたちまち資金が尽き、返済に追われ、やがてサラ金に手を出し多重債務となった。生活の歯車は狂った。もがけばもがくほど追い詰められる。ナデえィアとの恋愛も蔭(かげ)る。やがて、ナディアはカナダに職を求めて消える。ヤンも逃げ出すように祖国を後にして、ナディアを追う。カナダにはご存知のように豊かなフランス文化圏がある。日本から見えにくい現実がフランス=カナダ間にあるのだろう。旧フランス領植民地諸国からフランスへ多くの難民が押し寄せている現実だって、なかなか日本から見えにくい。いま、パリでルーブル美術館やエッフェル塔の周囲でみやげ物の模型「エッフェル塔」を観光客に売りつけているのは、ほとんど血色の悪い痩せたアフリカ系の男性たちだ。
 本作では経済難民とは途上国だけの問題ではなく、いまや先進国の貧困層も襲いはじめている現実だと、教えている。

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