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ルベン・ダリオとエルネスト・カルデナル

中米ニカラグア
 グラナダの詩祭、ルベン・ダリオとエルネスト・カルデナル

 ニカラグア第4の都市グラナダといえばスペイン植民地時代から中米を代表する古都だった。
 16世紀中期に創建されたときから中米地峡南部地域の宗教と文化の中心地として栄えた。
 19世紀後期、南北戦争で敗れた南部州にはおおくの奴隷制維持派が行き場を失った。そうした層に支持された弁護士がいた。ウィリアム・ウォーカーである。彼は、その南部の支持者から資金をあつめ、私兵ともにニカラグアを侵略した。ニカラグア人を奴隷として“輸出”しようと目論んだようだ。そのウォーカーの私兵によって焼き払われるまでグラナダは創建当時の古雅さが保たれていたという。
 それでも現在のグラナダはいまも大聖堂を中心に昔の面影を良く伝えているし、中米一の大きな湖ニカラグア湖岸に至る道の遊歩道にかつての繁栄の面影がみえる。
 この古都からニカラグアを代表する人材がたくさん輩出したのは当然の成り行きだった。
 なかでも詩人ルベン・ダリオ(1867~1916)は同国ばかりか近代スペイン文学を代表し、文学史に特筆される。スペインの詩人ガルシア・ロルカに大きな影響を与えたといわれる。ダリオの名はニカラグアでは国立劇場の名に遺されるほの国民的詩人である。その詩人の生誕地に設けられたのが「詩の国際フェスティバル」。今年(2014)は2月17日から23日まで開催される。会場はコロニア様式の建物に囲まれた独立広場だ。詩祭にはフランス、ドイツ大使館も後援する。
 今年はスペイン語文学を代表して例年、ノーベル文学賞の候補となっているエルネスト・カルデナル(1938~)を讃える企画となっていて、ポスターにも彼の肖像が描かれている。
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 カルデナルはカトリック最左派の「解放の神学」派に属する聖職者として、しばしばローマ法王庁の逆鱗に触れる政治的活動を実践してきた人であり、その中心的活動地は、当時の軍事独裁政権を圧制を避けたニカラグア湖に浮かぶソレンチナーメ群島であった。そこに住む半農半漁の貧しい民衆への識字教育などの実践活動報告は日本でも翻訳されている他、後年ニカラグア素朴派といわれる一群の農民画家を生み出した絵画運動の報告は日本でも画集となって刊行された。その群島に3日ほど滞在し、カルデナルの別邸に隣接した簡素なホテルであった。
ニカラグア農民の素朴画

 カルデナルの詩業の紹介はいまだ本格的に行なわれていない。筆者の知る限り詩集『深き淵より』一冊のみ刊行されているだけで、それもキリスト教専門書を扱う出版社の企画で、ひろく読まれているとは思えない。
 ニカラグアというとサンディニスタ革命関係の本が多く、そのなかで紹介されるカルデナルは、革命政権に文化大臣として入閣した闘う聖職者というイメージが先行している。比喩・隠喩に富んだ象徴主義的なカルデナルの語法が翻訳を困難にさせていると伝え聞くが、今年の詩祭のプログラムのなかでは、カルデナルの詩に曲をつけたコンサートも用意されている。
 けっして、スペイン語圏では「難解」とは捉えられていないように思う。邦訳が至難というのは、カルデナルが民衆に密着して活動してきた聖職者が捉えた言語世界が、アカデミックな正書法を規範とする辞書的なスペイン語に馴染まないからだと思う。そうした民衆言語で語る「聖書」の読み解きを主題にした『愛とパンと自由を--ソレンチナ-メの農民による福音書 』は詩人としての感性にあふれた清新な感動を呼び起こす書物だった。

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