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キューバ*米国国交再開へ

 米国フロリダ半島の南端からキューバに向けて小さな島が数珠つなぎに連なり、フロリダ州都マイアミから一本の幹線道路が最南端のキーウェスト島まで延びている。時速150キロ前後で走って約2時間半ほどの距離だ。
 その島は作家ヘミングウェイの終焉の地で、終の棲家となった家は博物館となって多くの観光客を集めている。猫屋敷である。かつてノーベル賞作家の膝の上でのどを鳴らしていた猫の十数代目の血族たちだ。そのキーウェスト島からマイアミまでの距離より、南へ直線距離でキューバの首都ハバナの方が近い。そんな一衣帯水の両国が1959年のキューバ革命以来、米国の経済制裁で国交が断絶していた。この不正常な関係が12月17日、オバマ米国大統領が国交正常化に向けた交渉を開始し、相互に大使館を設置すると発表した。

キューバ政府の国際向けのホームページ 「プレンサ・リブレ」(英語・西語他5ヶ国語)はカリブ海域の小さな島国、中南米諸国のすべての国の情報が日々、詳細に報道されるメディアとして世界中に読者がいる。筆者も愛読者である。
 そのページを開くたびにここ数年、いつも目にしていたのが米国の刑務所にスパイ容疑で収監されていたキューバ人3人の釈放をもとめるキャンペーンだった。それが消えた。
 米国政府が3人の釈放を決めたからだ。そして、キューバ政府も政治犯として拘束していた米情報要員53人を釈放した。長年、閉ざされていた重い扉がいっきに開け放たれた。
 
 昨2014年10月の国連総会で、米国のキューバに対する経済制裁の解除をもとめる決議案が国連加盟193カ国のうち、188カ国が賛成し、反対は米国とイスラ エルのみという圧倒的多数の賛成で可決された。それはいまに始まったことではなく、ここ10年以上もおなじような決議が採択されてきた。それを見てきた者にとっては急転直下の推移といった観のある。キューバとの国交があったカナダ政府の親密な仲介によって実現した国交正常化のプロセスだが、そこには両国の思い、国内事情があった。
 ソ連の崩壊後、強力な後ろ盾を失ったキューバは泥寧の経済危機に見舞われた。その危機をどうにか切り抜けたのは外資を呼び込んだ観光事業の拡大による外貨収入の安定、そして域内最大の産油国ベネズエラからの採算を度外視した故チャベス大統領からの廉価な石油の提供によって、かろうじて社会主義国家としての体面が維持できた。そのベネズエラが 現在、豊満な社会福祉政策のツケを払わされるように経済危機に陥り、治安が悪化しているのが現状だ。もうキューバを経済的に助ける余力は消滅した。
 米国との国交正常化は米国の資本を呼び込むためにも緊急課題だった。すでに国交正常化は時間の問題とみていた米国南部の企業家たちはツアーを組んでキューバ国内を視察していた。キューバはカリブ海域における最大の消費市場を持ち、距離を近さを考慮すれば輸送コストもほとんどかからない。
 
 オバマ大統領にとって在任中に歴史的に名を遺すような功績を事実上、上げていない。東アジアで言えば北朝鮮問題はなんら成果をあげていないばかりか、最近は米国の映画資本が北朝鮮からの組織サイパー攻撃にさらされ、中国の海上進出になんら有 効な対策をあげていない。中東政策の失敗はイスラム国の台頭で明らかだ。そんな現状を知れば歴代大統領が実現できなかったキューバとの国交正常化は今後どのように推移するにせよオバマ大統領が実現した功績として米州地域では特筆される。そしてキューバとの国交正常化はいまやアフロ系市民より人口が増加したヒスパニック系市民の支持を受けやすく、民主党への支持層拡大につながる。国交正常化をヒスパニック組織として反対しているのはフロリダ州の多数派である反カストロ派のキューバ系市民だけだろう。その反カストロ派にしてもキューバ国内に家族や親族、知人友人を持っており交流が容易になるのは歓迎すべきことだし、米国で蓄えた資金でキューバで新たな事業を展開するのが容易になる はずだ。

 むしろ、今回の国交正常化をもっとも憂慮しているのはキューバ周辺の小さな島しょう国ではないかと思う。
 それまでキューバへ入ることが難しかった米国人観光客が熱帯リゾート地としてジャマイカやプエルトリコ、バハマ、あるいは中米地峡のコスタリカといった国、地域へ流れていた。それを元々、観光資源の豊かなキューバに回帰していくことを恐れていると思う。

 またキューバが米国との国交正常化を積極的に推進することで、これまで反米機構として独自の経済圏を構築しようとしてきたボリバル同盟に亀裂が入り兼ねない。キューバとカストロ元首相とベネズエラの故チャベス大統領が車の両輪となって推進してきた同盟はボリビア、エクアドル、ニカラグアといった急進的な反米政権と連帯を強めることで存在感を示 してきたが、今後、どうなるだろうか。キューバ・米国の国交正常化は両国だけに充足するものでなく周辺諸国を包み込んだ構造の変化へと波及していくものだ。

 いまにわかにあわただしくなった両国の狭い海域にむかってキューバ人が羅針盤を載せずに船出しはじめた。フロリダにむかう不法越境者たちの手製の小船。いまならキューバ人は他国からの越境者とは違って、共産主義の独裁国家から逃れてきた政治亡命者として優遇される。もし、国交が正常化すれば、その特権も奪われ、ただの不法越境者となる。捕まれば強制送還されるだけだ。だから今のうちにと駆け込み亡命者が急増しはじめた。そして、命を落とす人たちも出ているだろう。それが現実である。
 
 
 

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