スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

セルジュ・ラトゥーシュ「消費社会からの脱出」

講演会
 セルジュ・ラトゥーシュ「消費社会からの脱出」

 フランスの経済学者セルジュ・ラトゥーシュ(パリ南大学名誉教授)が提唱した脱成長理論は、いま世界の覆っているグローバル経済の構造的矛盾を克服する新しい経済理論として世界的な注目を集め、「新しいコミュニズムの仮説」とも言われる。その思想を自らの語る講演と、日本でラトゥーシュ理論に賛同し研究者を集めた講演会が5月24日(2014)、東京恵比寿の日仏会館で行なわれた。

 「1958年、米国の経済学者ガルブレスが『豊かな社会』という著書を書き世界的な注目を集めた。それは消費社会のまやかしを批判する書として先駆的な価値があり、経済成長の限界を主張したものだった。
 ガルブレスの予見は、フランスにおいては1968年の5月革命や、2008年のリーマンショック後の混乱を言い当てるものだった。
 ガルブレスの予見から約半世紀のあいだに西洋文明はいくたびも経済的な危機を繰り返し起こしてきたし、地球の自然環境は悪化するばかりだった。こうした危機的状況を救うには、有限の地球資源を構造的に無駄づかいするしか経済成長できない仕組み、矛盾を問い、脱却しなければならない。日本は明治維新以来、西洋型の消費社会に入っていき、おなじような矛盾を 抱えることになった。
 私がいう消費社会とは成長が成長を促す止めどもない経済システムを指している。
 「成長」という信仰に支えられたシステムだ。それは無際限の資源の搾取であり消費である。人間に必要なものはわずかしか生産せず、生活にさして必要でないものを、あたかも必要であるかのように見せかけ、人に消費意欲を生じさせ、依存を生み出すシステムだ。
 生活に対して必要でないものを大量に生産し、それを買わせるためにはCMが必要になる。モノの大量消費のためにはCMは不可欠な存在だ。何故なら、もともと生存に必要でないものを買わせるわけだから、消費者に幻想を与える必要があるからだ。
 そうした幻想に惑わされた消費者は、購入資金が足りないとクレジットに容易にア クセスできる仕組みを企業は用意した。不況のなかでもクレジットやリボリングで消費者に金を提供し、借金地獄に追い込むシステムだ。
 現在、パソコンは必需品となってしまった。それは故障もするし消耗もする。しかし、故障を修理するより、新型を買った方が安いというシステムができている。絶えず新しい機種を作り出し買い替えという“消費意欲”を造形し、消費を刺激する。古いパソコンはすぐ使えなくなり、反故となったパソコンはただの有害物となって先進国ではもてあましモノとなり、途上国に送られて処理されている。
 消費社会とは大量に必要でもないものを生産し、それを作り出すために資源を搾取して自然環境を破壊し、さらに不要になったモノは有害物質となり、その破棄の過程で自然を汚したり、人を病いをもたらすシステムだ。
 私たちはもはや「簡素な豊かさ」を求めるしか生存できない時代に来ている。
 地球の財力を守ること、必要に応じて使うことでしか自然は再生しないだろう。生態系の破壊は地球大に拡大している。人間が生き延びるためには大胆な再建案が必要だ。
 そこで私たちは現に地球上の各地で実践されている真の豊かさをもとめる運動に注目する。それらの動きは現在、みなバラバラに行なわれているが、その地域の特殊性に応じたやり方で自然環境を阻害しない脱成長運動である。それはまったく統一する必要はない。多様性こそが力なのだ。(2013年5月)

西谷修・東京外国語大学教授
 日本は東日本大震災で多くのことを学んだ。特に原発事故による被害は日本における消費生活というのを抜本から見直された。被災地では人が助け合いながら被災直後を生き延び、都市では節電のなかで暮らしを工夫するなかで、ひとそれぞれが生き方を問い直しなどをしてきた。原発が作り出す大きなエネルギーは都市の夜を照らし出し、さまざまな家電商品を稼動させ生活の快適さを与えていたと思い込まされていた。そのことを原発事故で知らされた。原発は快適さどころか社会を根底から破壊しうるものであることを示してくれた。そうした状況のなかでラトゥーシュ氏の一連の著書が翻訳され、消費社会は麻薬への依存のような構造を示してくれた。
 現在の経済システムは100年先などみない 。1年どころか上半期といった時間で動く。そんなシステムからは地球の未来を到底、見通すことはできない。
 
ラチューシュ氏の新著『〈脱成長〉は、世界を変えられるか?』
 同氏の前著『経済成長なき社会発展は可能か?』で提示した理論の実践的な例を世界各地の活動を紹介し、さらに無駄に消費しない価値観の創出として、「贈与・幸福・自律」の多様性を模索する。カテゴリーでいえば経済学の著書であろうが、アジアで唯一のノーベル経済学賞を受賞したインドのアマルティア・セン氏の著書がそうであるように領界を超え、経済学の論述で語られた文明論としても読める。グローバル経済の弊害が露呈するなかラトゥーショ氏の「経済成長なき社会発展」論は、もうまったなしで、この時代に生きる人間に対する警告であるかもしれない。 作品社刊。2400円。

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

上野清士

Author:上野清士
店長の最新著書

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
カレンダー
04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
FC2カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。