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花もつ女たち №38 アマリア・ペラエス(キューバ 画家 1896~1968)

花もつ女たち №38
 アマリア・ペラエス(キューバ 画家 1896~1968)

 ハバナには音楽があふれている。同時に熱帯の太陽と心地よく呼応する多彩な公共美術がそこかしこに在る。
 この時代、音はインターネットで即発信できるが、質感をともなう美術はそうはいかない。故に日本では、キューバ美術の紹介は音楽に比べ、著しく遅れている。
 けれど冷戦時代からキューバ美術を迎える市場が〈敵〉米国にはずっと存在し、その評価も高い。だから、米国にはキューバ美術を紹介するギャラリーは幾つも存在し、英語による発信も多い。しかし、日本の市場はそれを受信しない。ヨーロッパのサザビーズ、クリスティーズも定期的にキューバ美術の出展数の多いオークションが定期的に開かれている。
 
 フロリダ半島のマイマミにはリトル・ハバナというキューバ及びラテンアメリカの亡命者、多くは経済難民だが、彼らが暮らす一角がある。そこもキューバ音楽が溢れ、公共的空間の美にハバナからの移植様式がある。むろん、亡命した音楽家もいれば美術家も活動している。

 ここで紹介するアマリア・ペラエスは近現代キューバ美術における最高の画家のひとりと言って過言ではないだろう。アマリア的色彩は固有の美だ。
 いっけん抽象に見えながら、あくまで意思的な具象的造形美を演出する。アマリア絵画の特徴のひとつに形態を縁取る黒く太い線がある。たぶん教会のステンドグラスの枠から着想をえているだろう。それもハバナの大伽藍の聖堂に光を取り込むために設けられたステンドグラス。けっして西欧の和やかな温帯の太陽のそれではなく、カリブの海の頭上で輝く熱帯のそれだ。影はより濃くなる。

 アマリアは革命前のカトリック風土のなかで育った。西欧への留学も体験し、太陽の違いを肌でしる。
 キューバではステンドグラスを透過しながら減光する過程で、光は屈折して歪み、照らし出された物体は刻一刻と変容する。アマリアの静物画は時の経過そのものを一枚のタブローに定着させようという野心を感じさせる。その〈野心〉はあくまでリリカルな諧調にとどまる。観ていて気持ちのよいおおらかさを感じさせる。アマリアの太陽は、物体から鋭角をとりのぞく溶剤かも知れない。だから、アマリアの絵は太陽の果実のようだ。緑濃いキューバ自然への讃歌ともなっていよう。
 
 ハバナの市中、海に面した一角にホテル・ハバナリブレがある。その建物正面はアマリアの青い壁画で覆われている。カリブの紺碧の海と空と呼応する。太陽といつもなごやかに対話しているように、そこにある。

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