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花もつ女たち №45  ソレンティナーメ諸島の農婦たち(ニカラグア*画家)

花もつ女たち №45
 ソレンティナーメ諸島の農婦たち(ニカラグア*画家)
ニカラグア農民の素朴画

 中米地峡における最大のニカラグア湖は琵琶湖の約12倍の湖面積を持つ。淡水性の鮫が生息する湖といわれたが、おそらく環境の悪化でここ数十年のあいだに絶滅したと思われる。

 同湖の北東部にソレンティナーメ諸島があって、ここに半農半漁の貧しいが自然といったいとなって穏やかな日々を送る人たちがいる。その人たちのなかから多くの農民画家が生まれた。
  原色の熱帯自然の豊かさを描いた絵、日々の暮らし、日常を描いた素朴画の世界だ。絵筆を握る手はみないちおうに日焼けし節くれだっている。
 
 筆者はこの諸島に数日、滞在した。そして、何人かの描き手と会っている。  
 育児をする母親、電化生活とはほど遠い台所で炊事をする初老の婦人、アボガドを収穫する者、網袋に実を満載して運ぶ者、漁師たち。芸術談義などここにはない。輝く太陽、湖面をわたる風、熱帯雨林に棲む鳥、昆虫の鳴き声、満天の星、流星…それらが彼らの絵の啓示だ。そして、素朴なカトリックへの帰依。

 ソレンティナーメ素朴画はサンディニスタ革命政権の第一期(1980年代)に世界中にコレクターを持つようになった。しかし、その歴史は新しい。
 近年、毎年のようにノーベル文学賞の候補に名を連ねている詩人にカトリック「解放の神学」派のエルネスト・カルデナス司祭がいる。司祭は、この地に、貧しい村を自立させようと農民共同組合を作った。その運動における解放教育から生まれたのが素朴画の世界だ。
 ラテンアメリカ諸国の民族文化をよく知るカルデナス司祭の着想にはカリブ海の小国ハイチの素朴画、メキシコ各地の先住民共同体で育まれてきた民衆工芸の世界などがあっただろう。1960年代、司祭は農民の精神的自立を促進する手段として、絵を自由に描かせた。心の開放・・・それが諸島の素朴画の黎明だ。
 昔、メキシコ革命の時代、日本の北川民次がメキシコ盆地の先住民子弟に対して行なった解放教育もカルデナス司祭に大きな示唆を与えただろう。

 農婦が生まれ育った村の光景を描きだした。といっても、いまある光景を写生したものではない。心のなかの少女時代の美しい思い出の光景、かくあるべき至福の村、豊饒と平和な村・・・そういう世界だ。
 熱帯雨林のなかに湧く泉池に農婦を配した「水を汲む農婦」という素晴らしい絵を描いたアナ・マリア・チャパリーナの筆。1950年に生まれたアナはカルデナス司祭との出逢いによってはじめて描く歓びを知り、瞬く間に独創の世界をつくり、欧米諸国で個展を開くことになった。

 ソレンティナーメ諸島の濃密な自然のなかに、こうした農婦たちが太陽の運行を自然の時計として暮らしている。

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