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花持つ女たち №47 エミリー・ウングワレー (画家*オーストラリア/アボリジニ 

花持つ女たち №47
  エミリー・ウングワレー (画家*オーストラリア/アボリジニ 1910頃~1996)
アボリジニ

 エミリーの絵はギャラリーの人口光で観るのではなく屋外で、かつ陽が天頂にあるときに鑑賞するのがふさわしい。
 砂漠を背景に底知れぬホリゾントとなった悠久の地平線をうがつようにエミリーの絵は置かれるべきだ。そして、その絵はかつてに光に抱かれながら素朴な語らいをはじめるだろう。
 
 エミリーはオーストラリア先住民アボリジニ女性。近代の国民管理システムの矛先がまだ砂漠の民まで届かなかった時代にエミリーは生まれた。ゆえに生年は詳(つまび)らかではない。推定である。その誤差がどれほど のものかにわかに判断しにくい。ある善(よ)き日、月満ちて、大地の意思として誕生したのだった。

 エミリーが絵筆をとったのは1988年。80歳(?)近い老女が、神がかりのような情念をもって突然、描きだしたのだという。それは死ぬまでつづいたといわれる。でなければ、88年から96年というわずか8年のあいだに老いた女が3000から4000点といわれる途方もない数の作品を描けるわけがない。大作もたった2日で仕上げていた、という証言もある。
 描くことに倦(う)むことはなかった。まるで肺腑から取り出すようにイメージを吐き出しつづけた。

 いわゆる抽象絵画であるけれど、アボリジニのボディペインティング、民族楽器、工芸品、あるいは狩猟用ブーメランに描かれた呪術的な紋様から発し 、やがてバティック(ろうけつ染め)の制作を手がけ、カンパスに向かったという意味では、民族意匠の延長線上にある仕事だろう。

 自然との親密な生活を80年近く送ってきた老女の体内にやどる無尽蔵の生活譜は、民族5万年の遺伝子と呼応して祈りとなり、その印しとして描かれた、ということだろう。文明社会から流入された廉価な絵の具の使い勝手の良さがエミリーのイマジネーションに火を点けたのだ。

 今日、アボリジニ出身の表現活動は目覚しい。音楽の分野ではさまざまな動きがあるし、日本公演を行う音楽家たちもいる。そのなかで多くの女性画家が誕生している。エミリーのほかにたちまり片手の指はすぐ折れる。みな例外なく大地への畏敬(いけい)から詩的イ メージを育んでいる。

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