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アントニオ・アギラールを讃える国家規模のイベント

アントニオ・アギラールを讃える国家規模のイベント
アントニオ・アギラール

 7月7日、アントニオ・アギラール(1919~2007)を讃えるイベントがメキシコ市の国立ベイジャス・アルテス劇場にカルデロン・メキシコ大統領をはじめとする各界著名人が参加して行なわれた。

 大戦後、メキシコ音楽を牽引したランチェーラ(*)、しかも演技もできる有能な人材が陸続と輩出した。メキシコ映画黄金期である。
 ペドロ・インファンテ、ハビエル・ソリス、ホルへ・ネグレテ、そしてホセ・アルフレッド・ヒメネス。しかし、インファンテが飛行機事故で夭折するなど、みな病死などで若死にした。それ以後、ビセンテ・フェルナンデスが登場する間隙をひとりランチェーラ界を支えていたのがアントニオ・アギラールという大きな才能だった。
  *日本でよく知られるマリアッチとは、歌手をささえる独特の顔楽器編成をもつ伴奏集団をいう。その伴奏にあわせて歌をカンシオン・ランチェーラという。

 フェルナンデスの全盛期もアギラールは玄人受けする歌手、俳優として独自の道を歩いた。日本の紹介がほとんどなかった才能だが、唯一、メキシコ映画『価値ある男』が紹介された時、アギラールは助演男優として注目を浴びた。映画は全盛期の三船敏郎がメキシコ南部サポテカ先住民の粗野な農夫役を演じたドラマだった。アギラールの存在が日本で知られたのは、その時だけだろうが、メキシコでは誰もが知る大スターだった。これまで、さまざまなところで顕彰されてきたアギラールだがメキシコ芸術の本拠地として知られるベイジャス・アルテス劇場で讃えられるのははじめてのこと、遅きに逸した観もある。

 生涯1500曲の歌を録音し、100本以上の映画に出演した。映画では製作も担当し、自ら書き下ろした脚本も少なくない。共演者リストをみればメキシコ映画界の名優たちが網羅されている。そういう大きな才能だった。 また人権問題に関心深く、メキシコにおける人種差別問題の解消にも尽力したことでも知られる。それは米国におけるラティーノ系市民に対する差別的状況に端を発し、マーチン・ルーサ・キング牧師の暗殺事件にも影響された。そうした人柄もメキシコ国民に広く愛された大きな要因だろう。

 ベイジャス・アルテス劇場の祝賀行事では同劇場のオーケストラがアギラールの往年のヒット曲を演奏し、メキシコを代表するテノール。フェルナンド・デ・ラ・モラが歌った。またサカテカス州の出身ということで同州知事も参列し、アギラールの子でアギラールJrがサカテカスの歌を披露するというプログラムも組まれた。
 生前、日本でほとんど紹介されることのなかったことが悔やまれるが、メキシコ大衆音楽史に欠かすことのできない才能であったことをあらためて強調しておきたい。彼の息子、ぺぺ・アギラール(1968~)はいまやランチェーラ界を背負って立つ中堅、いや重鎮といってもよい貫禄をもったアーティストとして育っている。映画には父ほどの関心を示さず歌一筋で活動している。  (2012年7月記) 

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