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カリブ海の米国自治領プエルトリコの独立運動家オスカル・ロペス

米国のカリブの自治領プエルトリコの独立運動家オスカル・ロペス
  ~マンデラを超える“良心の囚人”
オスカル・ロペス


 5月下旬から6月にかけて断続的に米国ワシントン、ニューヨーク、ロスアンジェルスなどの主要都市、そしてプエルトリコの主都サンファンで一政治犯の釈放を求めるデモ行進が行なわれた。

 プエルトリコはカリブ海北東部に浮かぶ人口370万の島国。カリブ海ではキューバ、イスパニョーラ(ハイチ、ドミニカ共和国)、ジャマイカに次ぐ面積をもつ島国。1898年以来、米国に編入されている領土だ。

 現在、プエルトリコには民族政党が自治政府の議会で活動している。
 米国への州昇格をもとめる新進歩党、現状維持のまま自治権拡大を目指す人民民主党。この両党が二大政党制を確立し、これに現在の状況を植民地として捉え独立を志向する独立党が加わる。
 プエルトリコ人は米国への納税義務がない代わりに、大統領選挙の投票権をもたない。しかし、米軍基地や射爆場のため自治体が二分されたところもあり、米国の軍事戦略の一翼を担っているのは確か。パナマ運河地帯にあった中南米域における最大の米軍基地のから多くの機能がプエルトリコに移され島民の負担は増大した。アメリカにおける沖縄といわれる。
 しかし、2012年に行なわれたプエルトリコの地位変更を巡る住民投票では州昇格派が多数派となっている。それも事実だ。
 しかし、米国議会では、その承認のための審議を行なっていない。プエルトリコ民衆は自分たちの土地の使用権に対して大統領選挙の場で発言することを封じられているのだ。

 スペインの植民地であったことから住民の過半数はヒスパニックで母語はスペイン語。宗教はカトリック。ハワイの先住民がそうであったように歴史的文化的な背景は米国本土とは著しく異なる。
 州昇格派の大半は豊かな米国経済と連動することによる実益を考慮するが、できなら「独立」が望ましいと考えている人も多い。自治権の拡大を求める人たちも本音は「独立」だ。だから、少数政党に過ぎない独立党を存続させ急進的な活動を支えた。同党がプエルトリコの心性を体現しているからだ。
 
 独立活動がもっとも激しかったのは1950年代で、島内では多くの衝突が起こり、米国本土でのテロ活動も展開した。現在の独立党はその流れを汲む。冒頭の政治犯とは1981年、米国の支配権を武力で覆そうと計画したとされる独立運動家オスカル・ロペス・リベラ。当時、プエルトリコの植民地状態を、国際世論に訴え、関心を呼び覚まそうとした急進的な活動だった。米国司法当局によればプエルトリコの民族解放戦線FALNが100件以上のテロを行なったとしている。そのFALNで主導的立場にあったとして逮捕されたのがロペスであった。すでに32年、獄中にある政治犯だ。

 1999年、当時のクリントン大統領はロペス同時期に逮捕されたFALNのメンバー16人の減刑を行なった際、ロペスも減刑対象者になったが、ロペスは減刑の対象にメンバー2名が欠けているとして自らの減刑を拒否した。気骨のある活動家である。

 5月から6月にかけてのデモはワシントンでは数百人規模のものだったが、6月15日のサンファンのデモは数千人規模に拡大、米国の植民地主義政策への抗議デモとなり全米でも注目された。

 ロペスは現在、世界的に注目される“良心の囚人”となっていて、その釈放を求める声はノーベル平和賞を受賞した南アフリカの大司教デズモンド・ツツ、中米グァテマラの先住民人権活動家リゴベルタ・メンチュウをはじめ内外の多くの著名人からあがっている。プエルトリコ内でも、政治的主張を異にする政治家たちもこの問題では連帯していることは注目に価いしよう。
 その背景には6月29日にプエルトリコのガルシア知事がテレビ演説で、「公的債務は返済できない」と財政危機の現状を訴え、約720億ドル(約8・8兆円)の債務について返済期日の先延ばしを訴えるほどまでに悪化した経済状況への苛立ちもあるだろう。債務は米国の対プエルトリコ政策の反映と受け取られているからだ。
 主力産 業の観光業が低迷し、米国本土へ流出する人口が加速し、税収が悪化していることなどが要因だ。米国がキューバと国交正常化を目指して協議している現状はさらに観光業への圧力となる。もともと観光資源の豊かなキューバには革命以前、もっとも多くの米国人観光客を集めていた。
 財政悪化にともなう緊縮財政でさらに景気が冷え込んでいるなかで、ロペスの不退転の民族主義的な独立志向が再注目されていることになったのだ。
 しかし、独立で財政がにわかに好転するわけではないのがプエルトリコのジレンマかも知れない。
 
 毎週土曜日、プエルトリコのスペイン語新聞にロペスが孫娘に送る手紙を掲載している。「海が呼吸する場所」と題された手紙はいま、世界のさまざまな言語に訳されて感動を読んでいる。
 海とともに独自の文化を育んできたプエルトリコ人が、潮の香がまったく遮断された獄中で人生の最良の歳月を過ごすことを強いられた人権活動家の強さとどうじに望郷の思いの深さをしる。それは南アメリカで27年間獄中生活を強いられたネルソン・マンデラの歳月を超える。   

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