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シネマート六本木の閉館  ~日韓関係の冷え込みは文化交流の発信地も凍てつかせた

シネマート六本木の閉館
 ~日韓関係の冷え込みは文化交流の発信地も凍てつかせた


 ひと月ほど前、東京・六本木交差点近くにあった地上4階地下2階の映画施設「シネマート六本木」が閉館した。
 そこは韓国映画の日本の発信基地であった。
 最盛期にはスクリーンも5面ほどあったと思う。1階の広いフロアにはカフェテラス、そして韓流スターのさまざまなグッズを展示即売するコーナーもあった。壁に大型のモニターが設置され韓国映画の新作を紹介する予告編がたえず流されていた。

 4~5年ほど前まで、そのフロアには終日、韓国の映画俳優ファンの女性たちがたむろしていたものだ。それが、ここ2年ほど閑古鳥が鳴いていた。客といえば、地下のマスコミ用試写室にやってくるマスコミ関係者ばかりだった。かくゆう筆者もその一人だった。
 韓国から輸入された新作映画は、その試写室でお披露目された。その新作映画が試写室で掛かる本数がここ数年、漸減しつづけた。日本で公開される映画が少なくなれば、必然、グッズ販売の品数も少なくなる。少なくなれば客足も遠のく。悪循環の様相を呈していた。試写に参加するため通うことで、日本で急速にファンを失っていく韓国映画の凋落を定点観測したようなものだ。韓国映画にとって日本市場はむろんドル箱であった。だから合作映画も多かった。

 その合作映画の象徴的な作品は『力道山』だったと思う。日本市場を視野に制作費を計上しようと思えば、朝鮮総督府時代の近現代史を史実を素材に制作することはなかなかできなかっただろう。
 韓国人にとって、普段の反日言動からすれば「三一万歳事件」や「伊藤博文暗殺事件」、あるいは豊臣秀吉治世時代の「文禄・慶長の役」の英雄・李舜臣の物語などは描きたいところであるはずだ。韓国でベストセラーになり、日本でも翻訳された李将軍の物語「狐将」は優れた読み物だった。これは是非、映画化して欲しいと思った。
 歴史劇は制作費が嵩み、それを回収するのは至難だ。
 回収にあたって日本市場は無視できない、と計算するなら、おいそれとは手がだせない史劇モノとなるのだろう。
 日本人の登場しない李王時代モノは繰り返し制作されている。そのなかには見ごたえのある作品も少なくない。そのなかの1本が人気男優ペ・ヨンジュが主演した『スキャンダル』だった。日本ではあまり語られなかったが、当時、朝鮮王室に浸透していたカトリック影響も示唆されていることに筆者にとっては貴重な資料的価値を提供してくれた映画だった。
 映画は手っ取り早く、韓国人の心情や文化事情を映し出す鏡だった。
 ポピュラニストの前大統領が拙速に竹島を訪問して領土問題化し、それが慰安婦問題と相乗して日本人の対韓感情は悪化、さらに韓国社会の制度疲労とでもいうべき大型客船の遭難、地下鉄事故、今なお終息をみない中東呼吸器症候群(MERS)で後進性を露呈するのをみて、観光しようと思う日本人は激減した。筆者も4度、韓国を訪れているが、とうぶん行くこともあるまい、と思っている。最近の世界遺産の登録問題では、日本人の多くは韓国政府から冷や水を浴びせられたと思っただろう。そんななかで大衆娯楽路線で日本に浸透した韓国映画は、その日本「大衆」から忌避されてしまったのだ。

 韓国映画人の創作力が衰えたとは思えない。日本で知れたスターたちも健在だ。
 MERSで混乱する前に計画されていた中国・上海の映画祭には多数の韓国映画の上映が予定されていた。韓国映画人も中国市場にむけた最良のショーケースになると、多くのスターを送り出す予定だった。しかし、中国はMERS感染を恐れ、映画祭直前に韓国映画人の受け入れを拒否した。韓国映画人にとっては泣き面に蜂だろう。

 2ヶ月ほど前、同館の試写室で韓国映画の新作『国際市場で逢いましょう』という佳作を観た。朝鮮戦争後の荒廃から立ち上がり、漢江(ハンガン)奇跡と呼ばれる経済復興、発展を成し遂げた現代史を一家族の物語のなかに象徴させた力作だった。その映画が、閉館した試写室でみた最後の韓国映画であった。
国際市場

 韓国映画の発信基地が失われたことで、映画における韓流ブームは終焉したと思う。システム的に多くの韓国映画の試写を一箇所で行なえていたものが、こんご、都内各地の試写室の日程表とにらめっことなってしまう。文化の市場を回復するのは容易ではない、再興されなければいけないと思うが、ここ数年で亀裂を生じさせた責任を、日韓双方を天秤に掛ければ、どう勘案しても韓国政府に責任があるように思えてならない。

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