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ドイツの女優ニーナ・ホス

 昨日、試写でニーナ・ホス主演の新作『あの日のように抱きしめて』を観てきた。公開は来月中旬なので、その辺りで批評を書こうと思う。2012年の映画『東ベルリンから来た女』で日本に広く存在感を示した知的で怜悧な印象をうける女優ニーナ・ホスが主演した映画である。監督も『東ベルリン~』を撮ったクリスティアン・ベッツォルト。同監督には『東ベルリン~』公開前にインタビューをしていて、このブログにも掲載しているので参照されたいが、今日は忘れないうちと思い。ニーナが2008年に主演したドイツ・ポーランド合作映画『ベルリン陥落 1945』についてメモしておきたいと思った。

1945ベルリン陥落
▽「ベルリン陥落 1945」2008年・ドイツ・ポーランド映画 マックス・フェーベルベック監督
 冷戦終結、東西ドイツ併合後のドイツ映画は、旧東ドイツの歴史、そこに生きた「東」ドイツ人の心の襞に分けは入ろうという心性を隠さなくなったし、なりより戦争に敗れたドイツがこうむった悲劇を民衆の視点から描きなおす主題が顕著に出てきていると思う。ハリウッド映画あたりに叩かれつづけたナチ時代のドイツだが、いつまでも叩かれ続けているわけにはいかない、という思いを強く感じるようになる。
 本作もまた、ソ連兵占領下のベルリン市民の日々、とくに女性立場からソ連占領の是非を問うようにリアリスティックに描かれたものだ。これには原作があった。1911年生まれで2001年死去のドイツ人女性の手記が、1954年にアメリカ合衆国で出版されて売れた。1945年4月20日より6月22日までの日付となっている。1959年、署名入りで西ドイツで出版されたが、手記をまとめた女性に対して非難がなされた。彼女の死後、署名を明かさな いということで再出版となった。そういう曰くつきの本だ。

 1945年4月末のベルリン侵攻してきたソビエト軍兵士らの強姦および敗残兵狩り、そして、ドイツ人市民とソ連軍兵士の対話をリアリスティックに描いた映画である。

 ソ連兵士によるベルリンでの日常的な強姦についてはかつてドイツの女性監督ヘルマ・サンダース・ブラームスが『ドイツ・青ざめた母』に描いていた。ソ連兵士は東では満州の日本人婦女子を暴行し、西ではドイツ女性たちを犯していた、ということだ。

 本作は、その事件のいわゆる精神への殺人というものがどういうものであるか、を克明に描いている。この映画はポーランドとの合作である。ポーランドもまたソ連崩壊後、ソ連政府の決定として行なったポーランド士官級兵士を根こそぎ抹殺するという愚挙を指弾した映画『カティンの森』を制作しているが、その意味でも本作が合作になったのはうなずけるところがある。

 この映画に、ロシア語に堪能なジャーナリスト役をニーナ・ホスが演じた。夫は出征したまま生死不明だ。
 彼女もまたソ連兵士にレイプされるが、この異常な時代の“罪”として彼女の精神は均衡を保つ。笑顔はみせないが、この時代をなんとか生き延びてやろう、そしてこの目でみたこと、自分のうちにおきたことを寸分見逃さないという冷徹な強さをもつ。ソ連将校とも一時的な恋愛関係に陥る、しかし、それが本物の愛であるのか、勝者に取り入ることで現在の苦難をやり過ごせると計算する自分の心の反映なのか・・・その辺りは彼女自身、定かではない。そんな複雑な心理をよく体現できる女優さんなのだ。その演技力は後年の『東ベルリン~』、そして新作『あの日の~』に引き継がれた。
 ふと、私的な感慨がわく、ニーナ・ホスなら、あのレニ・リーフェンシュタールを過不足なく演じ切れると・・・・・・。

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