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トルコ系クルド人は埼玉県蕨市をワラビスタンと呼ぶ~トルコ大使館前の乱闘事件について

トルコ系クルド人は埼玉県蕨市をワラビスタンと呼ぶ
 ~トルコ大使館前のトルコ人とクルド人の乱闘について


 ワラビスタン、日本に在住しているクルド人ならたいていしっている日本の“地名”だ。
 埼玉県南、日本でいちばん小さな面積しかもたない蕨市を、クルド人はそう呼ぶ。蕨を中心に川口、戸田地域は日本でもっとも多くのクルド人が住むが、彼らにとっては蕨を中心にした広がりを国を意味する「スタン」をつけて命名したのだ。
 国をもたないクルド人たちにとって「スタン」をつける心性を思わずにはいられない。そう蕨はクルド人にとっては圧政者トルコ人のいない自由な自分たちの空間なのかも知れない。
 しかし、彼らとてトルコ政治から逃れられない。それを象徴するような事件が10月25日、東京原宿のトルコ大使館前で起きた。クルド人とトルコ人の乱闘事件だ。それは蕨にも波紋を広げた。

 埼玉県南でクルド人の人権問題などをサポートする市民団体は重軽症者9人を出したといわれる乱闘事件の夜には、現場に居合わせたクルド人二人から聞き取りを行なった。そこで証言されたことはテレビや新聞などで報道されたことはだいぶニュアンスが違う。
 マスコミ各社が事件の知らせを受け現場に到着したのは午前11時以降のもので、それ以前の混乱な報道されていない。事件は当日早朝からはじまっていた。
 
 日本に在住するトルコ国籍をもつ人たちは約3700人、うちクルド系が推定1000人といわれる。その大半が蕨を中心に埼玉県南に住む。トルコ人は日本全国に散在して住むがクルド人は集住しているのが特徴だ。理由は明白だ。クルド人の多くがトルコ軍の迫害や、政治活動で国内に留まれなくなった人、あるいは生活に困窮し縁故を頼って日本に渡航してきた立場の弱い人たちが、同胞が集まる地域に引き寄せられるからだ。そうしたことは全世界で起きていることだ。
 そのクルド人たちもトルコ国籍である以上、本国の総選挙への在外投票権を持つ。トルコでの総選挙は11月1日だが海外では前倒しで25日に行なわれ、投票所となった大使館にトルコ人もクルド人も集まり、そこで乱闘が発生した。

 事件当夜、蕨で現場に居合わせたクルド人たちへの聞き取り調査が行なわれた。クルド人たちの人権問題に関わる地元の市民団体の活動家、弁護士などが行なった。
 聞き取りによれば、週末の夜を六本木周辺で遊んでいた若いクルド人5人が、帰宅せずにトルコ大使館前に車で乗りつけ投票が開始されるまで待機しようとした。そこへ、クルド人の車を挟み込むように2台の車が停車し、その車から降りてきた数人の男たちがいきなりクルドの青年たちを殴りつけはじめた。その時、暴力行為に出た男たちは、「この前は(6月の選挙)俺たちがいなかったから、あんなことになってしまったが、今回は前回のようなわけにはいかない」と言ったという。
 「この前の選挙」とは2002年から13年間にわたり過半数の国会議席を占め、単独政権を維持してきた保守系のエルドアン大統領の与党AKP(公正発展党)が、クルド系の政党の票に食われるかたちで過半数割れを引き起こした選挙を指す。
 選挙直後から政権の安定を図るためエルドアン大統領は野党と連立工作をはじめるが不調に終り、今回の再選挙でふたたび過半数の獲得を目指したのだ。
 
 しかし、6月の選挙以来、エルドアン政権は、イスラム国(IS)が勢力を拡大していると称しクルド人が多く住むイラク北部、国内のクルド人居住区へ空爆を重ねた。さらに10月10日には首都アンカラでクルド人たちが平和的に集会をしていた会場で爆弾テロが起き100人あまりが死亡する事件が起きた。爆弾事件の真相はまだ明らかにされていないが、事件によってクルド人たちが穏健な集会すら自制しなければならなくなった、という意味では政権に利するものとなった。
 という意味では25日以前に、大統領支持派の在日トルコ人とクルド人との間には一触即発の緊張があったが、少なくともクルド人には乱闘を引き起こして、自らの投票行動を放棄する理由はまったくなかった。

 蕨での聞き取りによれば午前7時前に名古屋から来た2台のミニバスに約50人が乗っていて、乱闘に介入。その時、現場にいた警官は3人で、蕨在住のクルド人A氏が警官に、「このままで大変なことになる、もっと大勢の警官を呼んでください」と要請。A氏によると、最初に暴行を受けた若いクルド人は重症を負い病院に搬送されたが、「警官がいなければ殺されていた」と証言している。
 その間にも乱闘騒ぎを知らないクルド人が投票のために次々と到着、緊張感はさらに増長し、事件をしらず子どもつれでやってきたクルド人女性も多く、身の危険を感じて近くのコンビニに逃げ込み、日本人店員が店を閉じて匿ってくれたと証言している。また、乱闘のなかでトルコ人の一人は、「クルド人からパスポートを取り上げろ」と叫んでいたとも話す。

 クルド人の大半はこのままでは正常な投票ができない、あるいは大使館のなかでパスポートを取り上げれる危険も感じ引き換えした。
 事件の真相はこれから解明されていくだろうが、結果論でいえば、この乱闘事件で漁夫の利を得たのはエルドアン大統領の与党ということだ。また、一部のマスコミが、「クルド人がクルド人政党の党旗を取出したことが」火に油を注いだかのような報道があったが、クルド人自身が自らの投票の権利を放棄するような挑発行為をわざわざ行なうことはない。このことは強調しておきたい。
 乱闘事件によってクルド人政党に流れる票が阻止されたという事実だけが残った。また埼玉でクルド人を支援する日本の市民団体が当日、TVなどマスコミの取材に応じて発言したことはいっさいカットされたことも記して起きたい。 
 
 28日には怪我をしたクルド青年も参加して川口で記者会見、「私たちは争うつもりは全くなかった。平和に投票をしたかっただけ」と訴え、「理由はどうあれ日本人に迷惑を掛けたことをお詫びしたい」と語っている。

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