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映画 アフリカを描く 『禁じられた歌声』と砂漠の遊牧民トゥアレグ族

映画『禁じられた歌声』と砂漠の遊牧民トゥアレグ族
  *本稿は、11月18日の続篇として読んで欲しい。
 
 映画の紹介などでは混乱を避けるためもあるのだろうが、物語の舞台となった古都ティンブクトゥを一時的に支配したのは「イスラム国」という扱いだが、正確には、イスラム原理主義を信奉するアザワド解放民族運動がまず支配権を掌握したが、これに対立するアル・カーダ系の武装組織がアザワドを駆逐し、古都の象徴であった聖廟を破壊した。
 古代からサハラ砂漠を行き交う交易路の中継地として栄え、1500年頃に繁栄を極めたと記録にあるが、西欧諸国の進出によって砂漠を経由しない交易路が開発されて衰退していった。けれど街の象徴というべきモスクなどがある歴史地区は日干し煉瓦などで建てられた砂漠という過酷な環境に適応した独特の景観美を遺された。その形態はバルセロナでサグラダア・ファミリリア大聖堂を計画するガウディに大きな啓示を与えたとするものだ。

この街の主要な民族がトゥアレグ族といい、アフリカ地域では現在、国をもたない最大の民族集団だ。そのトゥアレグ族の急進派が組織したのがアザワド解放民族運動だ。映画では、このアザワドと「イスラム国」に比較がまったく行なわれていない。たとえば、「イスラム国」は歌舞音曲を禁じたが、アザワドたちは「歌」そのものを民族解放運動を鼓舞する重要な教宣活動とみなしているのだから、禁じるわけはないのだ。
 映画にギダンというゲリラ兵士役で出演しているイブラヒム・アメド・アカ・ピノ自身、トゥアレグ族である。彼が自らTamikerestという音楽集団を組織、フランスとアフリカのマリ共和国のトゥアレグ共同体で活動している。イブラヒム自身、かつて銃をもつゲリラ兵士であった。
 そのイブラヒムも登場する興味深い記録映画が先行して日本に紹介されている。タイトルを、『トゥーマスト』という。サブタイトルは、ずばり「ギターとカラシニコフの狭間で」。
 トゥーマスト
北アフリカの砂漠地帯の遊牧民にトゥアレグ族は、日本からはまったくみえない先住民族だが、総人口は550万を数える。ニジェール、マリ、アルジェリア、ブルキナファソ、リビアの国境が接する周辺地帯に住む。彼らが国をもつことができなかったのも西欧諸国の私利私欲の植民地分割のためだ。
 トゥアレグ族は各国に散在して住むため自前のマスメディアを持たない。だから、「独立を訴えるため音楽がいちばん有効な手段なのだ」と訴える歌手を主人公にしたものだ。

 20世紀前半、メキシコ革命が起きたとき、その情宣手段とされたのが音楽だった。それをコリードという。日本でも良くしられる「ラ・クカラチャ」はその革命から生まれた。マスメディアが発達していない国、地域では昔も今も音楽は有力な武器となる。インターネットも携帯電話も普及していない地域の独立闘争はいまも肉声なのだ。そんなことを教える映画であり、イベントであった。
 「イスラム国」のテロによって、日本人も犠牲となったが、その歴史的な背景をみるとき、そこに住む民族を無視し、自分たちの利害だけで国境を割った西欧諸国の“罪”があぶりだされる。それは現在、アフリカ地域における政治的な混乱でもおなじことがいえる。
 

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