スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

署名アラカルト №5 挑発的含意型  柳美里

挑発的含意型  柳美里
伊集院 011

 個性的な署名を紹介するコーナーなのに柳女史のそれは誰が読んでも容易に「柳美里」と判読できる。
 そう、文字自体には取り立てていうほどのことはない。けれど、このひと、自著に署名するさい一筆目を必ず上部、裁断されたすぐ下から書き込む。すると必然、文字の配置、レイアウトは細長で書き下す筆でなければ必然、大書となる。そう、いつも余白をめい一杯つかうのである。署名における『隙間恐怖的空間忌避症』的である。そういう署名はしかし、珍しくないのである。
 柳女史の署名は“症状”といったものではないが自己顕示欲というものを感じはする。大書のわりには破調がないぶん結構、神経質な気配がある。
 柳女史が繰り返し書くテーマは家族、在日二世の自分の家族を赤裸々に描き、自身の恋愛問題もためらわず抉る、いわゆる女流として稀有(けう)な私小説家的作風である。でも、この人の描く「私」は瀬戸内晴美(寂聴)さんや宇野千代さんのようなカラリと乾いたところがないし、田辺聖子さんの旦那さんモノのようなユーモア精神も無縁。突き放してはみていない。陰気で、じめついている。そして、署名はそんな小説を、これから読もうとする読者に向かって、なにやら挑発しているような気配すら感じる。なにがしかの底意の気配が。そういう意味では物言う意味深長な署名である。

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

上野清士

Author:上野清士
店長の最新著書

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
カレンダー
06 | 2017/07 | 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
FC2カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。