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花もつ女たち №64  メアリー・カサット (画家 米国 1844~1926)

花もつ女たち №64
 メアリー・カサット (画家 米国 1844~1926)
カサット

 メアリー・カサットは実に多くの母子像を描いている。そして、その作品はすべてフランス印象主義運動の初期から退潮までの行程のなかに収まるものだ。
 ドガやピサロとともに温和な画風で歩んだ。フランスにあって、印象主義の推移に現在進行形というふうに寄り添った唯一、米国人画家でもある。だから、フランスの美術史などではフランスの画家として遇されることもある。ドガの代表的な肖像画の傑作に「カサット像」がある。同時代の同行者としてドガはそれを描いたのだろう。
 
 印象主義の波が過ぎ去ってみれば、カサット芸術でもっとも個性豊かな領域は木版画であることが瞭然とする。
 色相の限られた木版画は浮世絵 に触発されてはじめられた仕事であった。そこでも油彩で繰り返し描かれた親密な母子像があらたな展開をみせる。カサットの研鑽は寡黙で地味だが堅実に進化する。カサットが求めた美の世界は版画の世界でより純化し、清涼感に満ちたものになる。そこで主張されているのは代償をもとめない普遍的な〈愛〉の存在しか認めない、そういう強い確信がこめられているように思う。
 米国にとって「家族愛」、あるいは「夫婦愛」はピューリタン的理想像である。西欧の政治家はしばしば愛人問題を引き起こす。離婚、再婚、不倫が発覚しても、失脚の要因にはならない。スキャンダルには違いないが有権者は寛容である。しかし、米国では政治生命が断たれかねない不祥事となる。そんな米国でカサットの絵、版画は根強い人 気があるのも当然かも知れない。
 サザビーやクリティーズでたびたびカサット作品がオークションに出され、人気を呼んでいる。そのたびに発行されるカタログはカサット研究に貢献する。

 ひとつのテーマをながい期間、飽かず追究するという行為はつよい意思、それも絶えざる自覚的な力を覚醒していなければできないことだ。いったん弛緩(しかん)させれば、たちまちマンネリに落ち込む。われわれは数多くの美術史にそれをみてきた。美術史は脚注に多くのマンネリズをぶら下げている。
 77歳で白内障を患い制作を止めるが、それまで倦(う)まず母子像を描きつづける。
 カサットの代表作は約20年間のフランス滞在期で成しえたもので、帰国は54歳、1888年。欧州のあたらしい思潮を呼吸し、自立した女性芸術家として母国 では社会参与の姿勢を明確してゆき、婦人参政権運動に積極的に関わっていった。

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