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署名アラカルト №7 猪瀬直樹

自尊的渇墨型 
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 前都知事氏である。もちろん猪瀬氏の名を高らしめたのは著述家としての旺盛な活動だ。その知名度と前々都知事にして作家の石原慎太郎氏の後任者として1200万都民の代表となったわけだが、金の問題で失脚してしまった。
 猪瀬氏をついだのが現在の舛添要一現知事である。1995年に就任した俳優にして直木賞作家の青島幸男氏からはじまる都知事=著述業の系譜となる。舛添氏を学者とするむきもあろうが、学際的業績は客観的にみてたいしたことはない。舛添現知事の署名もまったく無個性でぞんざいで、署名に対する自愛感は希薄。事務的なものだ。
 その点、慎太郎氏の署名は“暴走老人”には似合わない大変、格調のあるもので凛とした気配がある。おそらく『太陽の季節』でデビュー した当時は、まったく違った筆だったのだろうが、政治家となってからの署名を見る限り年齢、作家としての自信がくる風格を感じさせる。面白いのは弟裕次郎さんの晩年の署名もなかなか立派なもので、兄慎太郎氏と似ている。

 さて猪瀬氏。書でいうところの渇筆での署名。目にする限り、氏の署名はほぼこの渇筆大書型だ。揺るぎない。
 都副知事になってからも著作はあったが、『ミカドの肖像』『土地の神話』、あるいは『ペルソナ~三島由紀夫伝』などを書いていた時期の仕事と比べると、行政官としての仕事に時間が割かれる分、密度が薄くなっているように思う。
 『ペルソナ』は三島自死後、出された評伝のなかで、もっとも優れた著作のひとつだろう。猪瀬氏の調査にかける網の掛け方、捕捉の手法、緻密さに関心させる力作であった。三島に近かった人たちの情緒過多の類書に比べて、その渇 きの客観性に説得力があった。都知事職を辞してから数年、また渇筆、大書の力作をみたいものである。その署名に一時は1200万都民を率いた権能者の余韻といったものがのこっているだろうか? 

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