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巧妙なウソ ビン・ラディンの死にまつわる挿話 映画『ゼロ・ダーク・サーティ』

巧妙なウソ ビン・ラディンの死にまつわる挿話 映画『ゼロ・ダーク・サーティ』
ゼロ

 2011年5月、〈9・11〉から約10年後、パキスタンの地方都市にあった広壮な民家がウサーマ・ビン・ラディンの潜伏先、及び全世界に指令を発する拠点として米軍の特殊部隊シールズが夜間、攻撃した。成果は、ビン・ラディン殺害、そして大量の資料が押収された、と米国政府は発表した。
 映画は、この民家に見立てた簡易「要塞」を若いCIA職員マヤ(ジェシカ・チャステン)が執念で探り出し作戦を成功に導いたとされる米政府発表の「事実」をサスペンス仕立てで描いたものだ。はたしてビン・ラディンの殺害が真実であったか、という疑念を捨てれば良くできた映画である。158分という長尺にも関わらず一気にみせる語り口はさすがに『ハート・ロッカー』でアカデミー賞・作品賞を獲得したキャスリン・ビグロー監督の手腕だと感心させられる。
 厖大なデータと地を這うよう な努力によって潜伏先を割り出して行く過程そのものは映画としてみれば退屈なものだが、適宜、スクリーンに刺激を与える挿話を挿入して飽きさせない。シナリオも巧みなのだ。
 しかし、大詰め、作戦が終了し、ビン・ラディンとされる遺体がアフガニスタンの米軍基地に運ばれてくる。そこで検視するのがマヤひとりなのだ。当時の米国にとって「9・11」の首謀者、最大のオタズネモであったビン・ラディンを、写真だけでしか知らないマヤが、さしたるキャリアもない若い一CIA職員のマヤに判定させる、などというアホなことがあろうはずがない・・・そんなことは政治に相当オンチな人間にもわかるはずだ。と思ったとき映画の感興は逆流し、これはなんだと白けてしまう。
 本作を試写室でみたときの、その感想はDVDで再見してもまったく変わらないものだった。公開時、本作について批 評を書かなかったのは、そうした違和感があったからだ。

 本作は、アカデミー賞の主要5部門にノミネートされた。受賞したのは音響編集賞という地味な技術賞のみだった。さすがに審査員もビン・ラディン暗殺作戦そのものに疑念をもっていたと思われる。映画が米国で話題になってから元国務次官補代理だったピーチェニックという人物が公けに暗殺作戦のウソを語り、映画を批判した。以下のピーチェニック氏の発言要約の出典は、http://disquietreservations.blogspot.jp/2013/01/dr-steve-pieczenik-hollywood-films.html  に拠る。

 「・・・オバマ大統領はビン・ラディン殺害という大芝居を、自身の大統領再選のために必要とした。同大統領自身、ウソであることは承知していた。私とともに長年、一緒に仕事をしてきたCIA職員の誰もがウソと認識していた。」

 「・・・そもそもビン・ラディンは2011年以前に死んでいたはずだ。彼は、マルファン症候群(Marfan syndrome)という不治の病いに侵されていた。私は当時国務次官補代理であったから、その情報に触れていた。マルファン症候群という病気は遺伝病だ。国務省に勤務していた私は、彼の病歴の記録から、それを知っていた。体内の組織が徐々に分解していくために長寿は望めない。短命が条件つけらた不治の病いだ。変性遺伝子疾患であって治療法がなく、寿命を延ばすこともできない。」
 「・・・政府の発表では、ビン・ラディンだという遺体は海に投棄されたという。しかも、投棄の前に、ビン・ラディンのDNAを採取したと詐称した。」
 インタビューの核心的部分だけ抜書きした。
 
 〈9・11〉以降、ブッシュ政権はイラクに「大量破壊兵器」が集積されているとして武力侵攻、フセイン政権を壊滅させた。しかし、どこにも「大量破壊兵器」は存在しなかった。しかし、国際社会は米国の虚言を、より「悪」としてのフセイン独裁政権の粉砕という“大義”の前に「信じ」目をつむった。虚言であったことが証明されても、米国は糾弾されていない。
 映画『ゼロ・ダーク・サーティ』は公開後、DVDとなって世界に流布している。ウソも百編繰り返せば“事実”となることをオバマ大統領は願っているのか? ハリウッド映画の実力のひとつはウソが完璧な証言によって暴かれるまで、“史実”として一定期間、 機能させる可能性をもつことだ。それが怖い。世論とは、そうして形成されてゆくのだ。冷戦下の ハリウッドで起きた“赤狩り”はまったくのでっち上げだったが、生身の才能は確実に潰されていったのだ。チャップリンすら追われた。

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