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著名な先住民人権活動家、暗殺される 中米ホンジュラス

米大陸、先住民の人権状況は改善されず
 著名な先住民人権活動家、暗殺される 中米ホンジュラス
ホンジュラス

 世界中の環境保護活動に目配りをして選考されていると尊重される環境問題におけるノーベル賞「ゴールドマン環境賞」を受賞している世界的に著名な先住民活動家ベルタ・カセレスさん(43歳)が3月3日未明、中米ホンジュラスの自宅で殺害された。
この悲報は同国だけでなく、世界中で先住民の数少ない居住区が開発の名の下で破壊されつつある現状を憂え人々のあいだに波紋を呼んでいる。
 
 1992年、コロンブスの「新世界」到達500年を機に南北アメリカ諸国の先住民は声を上げた。
 「この500年は先住民によって圧政と屈辱、非人権の歳月だった」と。そして、ただ声を上げるだけではなく運動を組織化し国連の場にも多くの問題を持ち込んだ。いずれもコロンブスからの5世紀に及ぶ問題の集積であった。
 その一つの成果として、国連は「先住民年」を制定し、運動は日本のアイヌ民族も参加する国際的な運動となった。その運動の象徴的存在が、中米グァテマラのマヤ系キチェ族出身の女性活動家リゴベルタ・メンチュウさんだった。アメリカ地域最初の先住民出身者がはじめてノーベル賞を受賞した意味は大きかった。
 また、南北アメリカの広範囲地域で先住民に対する征服戦争を仕掛けた西欧諸国の軍隊に従軍司祭として参加することになったカトリック司祭の罪もバチカンは認め、ローマ法王自ら謝罪したのも1992年のことだった。
 しかし、実際のところ南北アメリカ諸国に暮らす先住民は北はイヌイット族(エスキモー)から南はチリのマプチェ族までいまも“開発“という名の土地収奪に脅かされている。
 
 暗殺されたベルタ・カセレスさんは、1993年、国連の「先住民年」に後押しされるように「ホンジュラス人民組織委員会」(COPINH)創設し、同国の先住民人権の向上に文字通り身体を張ってきた活動家であった。首都テグシガルパの事務所(当時)、短い時間だったが話す機会があった。
 近年の活動は先住民居住区を水没させるダム建設阻止に身体を張ってきた。
 グアルカルケ川上流で進むアグア・サルカ水力発電ダムの建設反対運動で、COPINHの活動家たちがダム推進派からの直接的な暴力を受けていると軍、警察機関を批判していた。同国では、他の流域に住むダム建設阻止活動に従事していた先住民活動家トマス・ガルシアさんが2013年に暗殺される事件も発生していた。カセレスさんは同国を先住民の多数派レンカ族出身で、父祖の代から住む「神聖」土地、民族の歴史、伝統文化そのものが破壊されることに反対していたのだ。同国では2010年から15年のあいだに人権活動家などが109人も暗殺されている。活動をする、ということは同国では命を張ることを意味した。だから、国際社会の賞を授与し、同国の推進派を牽制する必要もあった。
 カセレスさんは、開発工事は軍隊や警察の「暴力」に守られると政府を批判していた。それはホンジュラスばかりでなく中南米諸国の開発事業にともなう共通のことだ。そして、その軍隊の大半は米国の影響下にあるとカセレスさんは2013年に批判し、地域の耳目をひいた。また就任間も ないフランススコ・ローマ法王にもヴァチカンで謁見、ホンジュラスで起きている問題は、南北アメリカ地域におかれている先住民の状況だ、と訴え、法王も理解を示していただけにカセレスさん暗殺は多方面で大きな波紋をよんでいる。
 同じマヤ系先住民が国民の半数を超え、同じような開発問題を抱える隣国グァテマラにもカセレス暗殺事件は波及し、先住民組織は事件の究明と先住民の伝統を守れと活動をはじめいる。また、南北アメリカ諸国の最大の諮問機関である米州機構などもホンジュラス政府に公正な処置を求めている。
 同国の通貨単位をレンピーラという。16世紀前半、スペイン征服軍と勇敢に戦った伝説的な先住民指導者を称えている。また、同国最大の観光資源は古代マヤ文明の巨大な都市遺跡コパンであるが、その観光業から遠ざけられているのも現代の先住民だ。レンピーラ紙幣にもコパン遺跡は誇示されている。同国、いやラテンアメリカ諸国では、歴史の長さを象徴したいため実証もむずかしい先住民英雄の事蹟が尊重されているが、しかし、それは紙幣や硬貨、あるいは切手といった表象のみで、現実の先住民たちが尊重されることはない、と言い切ってよいだろう。
 写真は、ゴールドマン賞受賞式でのカセレスさんだが、伝統的な先住民衣裳ではない。ホンジュラスではグァテマラやメキシコのように伝承されなかった。500年の歳月の間に伝統的な習俗が破壊されてしまったからだ。リゴベルタ・メンチュウさんがキチェ族の民族衣装で活動し、ノーベル賞授賞式に臨んだこととあまりにも対象的だ。

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