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映画『老人と海』 ジャン・ユンカーマン監督

映画『老人と海』 ジャン・ユンカーマン監督

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 ハバナ郊外にヘミングウェイの私邸を訪ねた後、名作『老人と海』のモデルとなった老漁師が住んでいたというコリマの浜の小さな家を訪ねた。映画では静かな浜という印象だったし、原作も熱帯の太陽に晒され白濁したような気配を記憶しているが、そこは町であった。ソヴィエト崩壊後、経済再建に取り組んだキューバ政府が、観光資源となるヘミングウェイを“史跡”開発に少し資本投下して整備された町でもあった。
 本作のタイトルから誰だってヘミングウェイの名作を想い出し、それの呪縛から解放されない。それは、同名のタイトルで映画を撮った監督にとっては、ある意味、マイナスなのだが、あえて同じタイトルで発表した。それだけ映画に自信があったのだろう。そして、その意気込みにうなずけるできばえであることは筆者も素直に認めたい。
 映画の舞台は、日本最西端に位置する与那国島、そして周辺海域。そこは、コリマの浜と海に、緯度でほとんど同じということだ。そして、ヘミングウェイの老漁師と同じように独り乗りのサバニと呼ばれる小舟を操って巨大なカジキマグロ漁に出ている老漁師がいた。沖縄でいうところの海人(うみんちゅ)の糸数繁さん。その糸数さんの漁の日々を淡々と撮ったフィルム。ナレーションもなく、時折り糸数さんが語る沖縄言葉(与那国島の方言であるかも知れない)は、そのままでは意味が伝われないということで、日本語字幕が入る。そういえば、キューバの庶民、とくにアフロ系のひとたちが使うスペイン語は、極端にSの音を省略する「come s(Sを食べる、と訳す)」だから、そういうキューバ庶民をドキュメントした映画は、メキシコなどではそのまま通じないのでスペイン語字幕が入る。そんなことをふと思い出した。  『老人と海』、そのスクリーンのフレームはひたすら海と島の日常を映し出す。海のうねりはそのままスクリーンに反映して、みている筆者も居心地よくたゆたう。そんな映像だけで98分をまったく退屈させない魅力に富んだドキュメントである。
 スクリーンが滲みとおる藍色。われわれの遺伝子に組み込まれている海の記憶が厳かに呼びさまされる素敵なフィルムである。

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