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増補版 舛添都知事が批判の渦中で自慢した(?)北川民次のリトグラフ「バッタと裸婦」

舛添都知事の品位のない美術コレクション  

 ふだん、TVのワイドショウ、というのか、無駄話のてんこ盛り、ともかく五月蠅い番組は見ない。それでも、ニュースとか天気予報などを待つあいだのながらで横目でみることはある。いま、そういう番組をみていると必ず舛添都知事のセコイ公金横領(とあえて書く)の話題が必ず入ってくる。

 ヤフオクなどで美術品を購入している問題なども盛んに指弾されている。そのひとつに米国現代アートの異才キース・へリングの自筆書簡の購入が明らかになっている。都知事は都市外交のツールとして美術品を購入している、と認めている。しかし、それをどのように使ったとは説明がなく、批判を浴びていた。それを知ってか、弁明の一環としての行為なのだろう、5月31日、都庁を訪れたメキシコ市の経済開発長官との面談の席に、都知事は自前コレクション一点を持参、それを麗々しくみせている場面がワイドショウに流れた。
 その面談を報道した番組のスタッフはそのコレクションに関する知識がなかったのだろう、作者も作品も明示されずに終わった。そのシーンを見ていて、わたしは、アレ、と思った。瞬間、目にとめた絵が一見して北川民次の特徴を表していたからだ。その夜、ネットニュースの静止画像でそのシーンを確認すると、画面が小さいので確信がなかったが、メキシコの役人との面談、そして、都知事のヤクオクでの入札・落札額の平均が3万5千円前後といわれているらしので、それを目安に探索すると、100枚摺られている「バッタと裸婦」であった。日動画廊を通じて流布したものだ。当時、北川が日動との契約上、量産していたリトグラフのシリーズの一点で、北川のメキシコ取材の画像による登場するバッタを表出していることでは、彼の特徴がよくでているものだ。その美術史的価値はともかく、市場価値は低い。思いがけないところでメキシコが登場した一連の騒動をみて、わが家にメキシコ国籍をもつ次男がいるので、これは一語しておく権利ありと思い、これを書いている。

 北川民次は静岡県出身の画家で文才もあった人だ。
 メキシコ革命後、メキシコに在った北川はメキシコ民衆芸術運動に共鳴、メキシコ人芸術家たちに混じって地に足のついた活動を展開した。先住民子弟たちのなかに入り、彼らを絵や造形美術を通して、先住民としてのプライド、アイディンティティの覚醒を促した。帰国後は二科展の重鎮として活動した。いまでも根強い人気のある画家だが、リトグラフの点数は数多く、絵の状態にもよる総じて廉価だ。都知事が提示した「バッタと裸婦」は一見して保存状態が良さそうだ。黄ばみや染みが生じているものならヤフオクなら数千円から入札がはじまるだろう。将来的な価値としてストリート・アートの先駆者へリングの書簡のほうが美術史的価値がある。

 メキシコ訪問団に前に出したリトグラフは、訪問団長に進んで献呈するぐらいのものだ。もし、自分のコレクションとして、いや首都の知事としてみせるなら北川の油彩ぐらい取り出して欲しいものだ。このあたり、おなじ日本人として恥かしい。ちまちましている。だいたいメキシコのインテリ階層なら北川民次のことはしっている。なかには、利根山光人の古代マヤ遺跡のステラ(石碑)や浮彫壁画の巨大拓本を採ったことなどもしられているだろう。
 都知事は世間の批判を考慮してTVカメラの前で拙速に“演技”したに過ぎない。訪問団に手土産として献呈したという報道なら納得できるが、自慢気にみせて話の接ぎ穂とした程度の話なら、またまたセコイ。その程度のスタンスでパリ訪問中、それぞれ個性な審美眼をもつことが求められるフランスの知識人の前で都市外交とやらをしていたかと思うと日本人として思わず赤面してしまう。

 ここでふと、私の拙いブログのなかでささやかな連載ものとなっている「署名アラカルト」シリーズのなかで都知事になる前の舛添氏の署名に触れたことがある。猪瀬直樹前都知事の署名を語るコラムであったが、その比較としてコメディアンで放送作家、そして直木賞受賞作家であった青島幸男さん以来の都知事史のなかで、もっとも立派な筆跡が石原慎太郎さんのもので、いちばん個性的なものが猪瀬さん、そしてもっとも非個性、凡庸、品格のかけらもない、つまり自著に誇りもだいていない著者の典型的として舛添さんの署名がある、と書いておいた。むろん、今回の騒ぎが起こる半年も前に書いたものだが、やはり文字は人を顕す、ということなのだろう。

追記 舛添都知事が美術品の購入を、ご本人が主張するように「都市外交」などのツールとして使っていると公務のために公費をつかったというなら、知事退任時に都が運営する美術館等に収めるのが順当だろう。ずるがしこい都知事のこと、ほとぼりがさめれば私蔵してしまうのは目にみえている。収めるまで都職員は監視すべきだ。

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