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中国人観光客の“爆買”から質への転換

中国人観光客の“爆買”から質への転換

 中国人観光客のいわゆる“爆買”は続いているようだが、耐久性のある小物家電の購入はさすがに一段落したようだ。それでも薬品、化粧品などの消費は相変わらず旺盛だ。

 先月、私用で福岡、佐賀へ行ってきた。
 博多で逗留したホテルのエレベーターに乗合わすのは中国人と韓国人ばかり。天神、大宰府、九州国立博物館でも中国人観客客が目立った。
 陶芸が好きなので佐賀に足を伸ばした。唐津、伊万里焼の本場で観光地でもある。さすがにここまで来ると喧(かまびす)しい中国人観光客ご一行の面々は少ない。けれど、名品の展示も兼ねた物産センターなどに行くと熱心に手にとり吟味する中国人は少なくない。彼らもよく知っていて唐津では古唐津焼の伝統をつぐ十四代の中里太郎右衛門の作品に食い入るように玩味していたりする。

 伊万里焼の反映には中国の影響がある。特にビジネスということでは17世紀、明王朝の滅亡、あらたな清朝は初期、商船の近海の航行を禁止、中国と欧州諸国との貿易は途絶した。陶磁器を当時、生産できなかった欧州では中国磁器は高値で取引きされ利幅も大きかった。当時の東インド会社にとって香辛料などならぶ重要な取り扱い品目だったから、中国の政変は痛かった。
 そして、中国磁器に替わって目をつけたのが北九州の諸窯で生産されている磁器であった。伊万里の窯に欧州から大量注文が入った。華麗ないわゆる柿右衛門様式はそうした時代の伊万里の繁栄を背景に登場する。

 大きな政変があるたびに芸術活動が中断、名品が国外に流出するのは世のならい。
 最近、中国人が日本で“爆買”しているリストに書画骨董がある。アヘン戦争、日清戦争、辛亥革命、日中戦争、そして毛沢東指導の文化大革命時代まで19~20世紀は中国文物のおびただしい流出の歴史であった。いま、それを懸命に買い戻している印象がある。絶対量が少ないから家電のようには目立たないが一点の金額が高いから日本の美術市場はけっこう賑わっている。
 さらにヤフーや楽天がインターネットで展開しているオークションでは日本に拠点を構えた日本語に堪能な中国人が、本国の顧客から要請を受けてネットでめぼしい書画骨董、希少な印刷物などを買いあさっている。これはなかなか表に出ないが、東京・首都圏を中心に全国主要都市で活動している。
 戦時中、日本で刊行された中国戦線における戦記モノなども落札されている。中国の歴史家などはそうやって資料を集めているのかも知れない。
 現在の中国の印刷技術は日本と遜色ないが、鄧小平による経済開放以後しばらくはひどいものだった。だから美術品に対する観賞眼を肥やすためにも日本の美術書は欠かせないアンテムであるようだ。“爆買”は銀座や秋葉原ばかりが舞台ではない。ネットの世界では深く静かに常態になっている。

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