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リオ五輪の懸念って?

 南米初のオリンピックとなったブラジル・リオデジャネイロ大会が始まる。懸念されていたスタジアムなどの建設工事はなんとか間に合いそうだし、水上競技会場の水質汚染やインフラ整備、スポンサー不足、宿泊施設不足等などもどうにかクリアされたようだ。 このリオ大会が決まってから今日まで、日本だけでなく欧米メディアを通じて流されたリオ五輪報道の行間から、先進国特有の上から目線をずっと感じてきた。東京大会のメインスタジオのデザインコンペ、エンブレム選考のぶざまともいえるゴタゴタ、都知事のプライドも品もないセコイ政治資金流用の問題を棚上げにして、ラテンアメリカへの冷ややかな視線をずっと感じてきた。
olympics-2016-brazil.jpg
 ブラジルは過去2回、オリンピックより熱狂的なファンがつめかけるサッカーW杯を二度、リオを本会場に主催した。いずれの大会も開催までさまざまな懸念があったが無事、成功させている。なるようになるのだ、と言い方は無責任のようだが、筆者の実感にもっとも近い。
 リオにはファヴェーラよ呼ばれるスラム街が約400地区ある。隣接する郊外地区を含めたリオ都市圏の人口は約1300万。そのリオ人の4人に1人はスラムで暮らすという町だ。
 リオ五輪が決まってから、スラムにある麻薬密売組織を封じ込めようと特殊警察部隊を創設したり、日本の援助で文民警察を配置する「交番」を各所に作るなど治安改善に力を注いできた。その間にも、たとえばブラジル映画はスラムを根城とする麻薬密売組織などをテーマに暴力的な映画を平然と制作していたし、そうした映画が国外で上映されることにさしたる疑念すらブラジル政府はみせなかった。そのあたりは独裁国家ロシアや中国の対応より、ずっと民主的だし表現の自由がある。
 スラム解消ということでは1940代、50年代、そして軍事独裁政権下での70年代にも強権で撤去するという計画もあったが挫折した。スラムの肥大化はブラジル経済・社会政策の反映であって五輪をきっかけに解消するような単純な問題ではない。したがって五輪会場周辺での犯罪は基本的になくならない、との前提に立ってリオ当局は 警備要員を増やして対策にあたるだろし、IOC(国際オリンピッ ク委員会)もW杯での実績も踏まえてリオ五輪を決定したのだ。
 過去、巨大スラムを後背地に抱えた大会として1968年のメキシコ大会があった。そして、そのメキシコのスラムは解消するどころか、現在も肥大しつづけている。五輪とスラムの解消はまったく別問題である。そうした自明の問題を、五輪開催不安に結びつけるところに、筆者は「上から目線」を感じてしまうのだ。

 リオ市民が五輪をどう見ているか、といえば、それはW杯と同じようなスタンスだろう。
 「五輪よりスラムのインフラを整備しろ」、「社会福祉に金を使え」という声が出るのが当然だし、またそういう声も確かにある。しかし、庶民の目は醒めている。スラムの形成は、リオ一市で解消できる問題ではないことは誰でもしっている。また、リオっ子の文化的な心性を見逃すこともできない。
 たとえば、リオのカーニバルは豪奢なフィエスタとして世界の耳目を集める。そして、その祭りの主人公、あの華麗なパレードを繰り出すチームの大半は各地区のスラムから出ている。彼らは一年の貯金を豪奢な衣装や 練習のため、数日のハレのために消費することを厭わない。そういう市民の心性を理解しないと五輪に対する思いは理解できない。

 また、リオ五輪開催の懸念材料のひとつにルラ前大統領の国営石油会社ペトロブラスなどでの汚職事件があった。警察の事情聴取も行なわれ、逮捕の可能性も出てきたところで、同前大統領の腹心の部下であったルセフ現大統領は職権で官房長官に任命、警察の追及をかわそうとした。これに怒った国民は各地で抗議行動を展開、国会でルセフ大統領の職務を停止する弾劾採決が行われ、現在、副大統領が職務を代行中だ。国政の混乱が五輪開催に影響を与えるのではという危惧もあったが、五輪は都市開催の競技会。リオ当局にブレも変化もない。

 聖火が灯されるとともに世界の視線は競技の行方に集約される。世界でもっとも日系人の多い国。サッカーW杯とどうよう日系社会は選手のサポートはもとより、日本人観光客のために便宜をはかろうとさまざまなプランを練っている。むしろ、リオ五輪での心配は外からの懸念だろう。
 21日、IS(イスラム国)に共感しテロ活動を計画していたとされるブラジル人10名を拘束したというニュースが入った(日系人が一名いるらしい)。
 多民族国家のブラジルは世界最大のカトリック信徒を抱える国だが、信仰の自由は保障されている。広大な国境をもつ同国に「悪意」を持って入国しようと思えば越境は容易だ。最近のISはソフトターゲットを標的とするテロ活動を展開していることは周知の通り。五輪はISにとって格好のステージとなるということで警戒レベルを上げていたなかでテロ活動計画を発見したのだ。リオ五輪への懸念はリオ市民の生活にどう影響するかという問題はすでに後退しているのが現状だ。
 olympics-2016-rio-de-janeiro-color-bursts.jpg
 その市民目線でみれば、スポーツ大国ロシアがドーピング問題で不参加になる可能性が出てきたことで盛り上がりに欠けるのではという話題のほうが大きいと思う。しかし、サッカー国ブラジル、同国代表チームに現在のヒーロー、ネイマールがオーバーエージ枠で参加したことで大いに活気づくだろう。リオ市民は、五輪予算を俺たちに回せ、いう声は最初から民意となっていない。それをあたかも「民意」として報道していたのは海外メディアの上から目線ではなかったか。スラム住民にとっては大会期間中、警察などの締め付けはきつくなるかも知れないが、W杯で体験済みと庶民の知恵でやり過ごすだろう。 

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