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映画 『ブレイク・ビーターズ』 ヤン・マルティン・シャルフ監督(ドイツ*2014)

映画 『ブレイク・ビーターズ』 ヤン・マルティン・シャルフ監督
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 ソ連・東欧諸国がドグマ的な共産主義のクビキから解き放たれて、すでにそれなりの歳月を重ねたが、いまでも、こんな回顧趣味的な作品が制作される。回顧といって語弊があるなら、時代の貴重な証言、と言い換えようか。絶対主義のなかでの過剰な警戒が生み出す馬鹿ばかしさ、真剣さは限りなく滑稽にみえてしまうことを本作は語っている。
 私がみた回顧モノでいちばん記憶に残っているのは、旧ソ連時代のモスクワの若者たちが西側から流れてくるビートルズのヒット曲を廃物となっていたレントゲンフィルムに刻んで仲間内で流布させた事実を物語った映画だがタイトルを失念した。レントゲンフィルムは昔、日本でも量産されたソノシート(といってもいまの若者は知らないだろうが)。ソ連製のソレは、「骨レコード」といったらしい。

 本作で描かれているのは1980年代の「東ドイツ」の工業都市ディサウの少し尖った若者たち。その地の映画館で、米国映画『ビート・ストリート』が上映され、ニューヨークのアフロ系青年たちが街頭でブレイク・ダンスのパフォーマンスをみせる米国映画『ビート・ストリート』が公開された。これに東ドイツの若者は驚愕、たちまち感化される者が陸続と現われた。史実である。表現の自由を満喫できない鬱屈した若者におおきな影響を与えたようだ。
 「こんな映画を当局が公開承認したのなら、真似しても差し支えない」との安心感もあっただろう。映画が公開された各地で見よう見まねでブレイクダンスに興じる若者が族生した。
 主人公の青年フランクもそのひとり、元オリンピックの女子体操選手も巻き込んでチームを結成、街頭で妙技を披露しはじめる。これを当局は、「西側のタイハイ文化の浸透」と憂慮、と同時に、ブレイクダンスで若者の表現活動への欲求のガス抜きに利用できるともくろく人たちも。その後者の知恵者が、ブレイクダンスを体操競技、新体操の発展形としてとらえ指導するところが面白いし、新鮮に映る。官製スポーツ大国であった東ドイツらしい現象だ。
 おなじ社会主義国でもキューバなら最初から野放しだろうし、若者たちはおおらかに楽しんだろう。当時、米国と国交断絶状態であったキューバに米国映画は配給されなかった。しかし、キューバのダンス文化は東ドイツよりはるかに自由であったし、ダンスで性的交流、暗示をするのも自由だった。そんな風通しのよさが、ソ連の後ろ盾を失ってもなんとかカストロ体制は維持されたのだ。
 で本作『ブレイク・ビーターズ』の結末はここでは語るまい。今後、この地上に、東ドイツのような体制が現れないように心するためにも、結末を知りたい読者は映画館でみるか、もしDVD化されたらみるべきかな・・・。*東京地区での上映は7月に終了。

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