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パナマ運河の新時代  ~拡張工事完成で飛躍的に物流量が増える

パナマ運河の新時代
 ~拡張工事完成で飛躍的に物流量が増える
パナマ新運河を航行する最初の大型コンテナ船(中国)
 ラテンアメリカ地域の話題がリオ五輪に集約されていた6月26日、中米パナマにある太平洋と大西洋を繋ぐ海の大動脈パナマ運河の拡張工事が終了し、最初の通過船を迎える式典が行なわれた。輸出入に大きく依存する日本にとって運河の拡張の意味は大きい。

 最近のパナマの話題といえばタックスヘブンを巡る「パナマ文書」問題に集約されていたが、その間にもパナマ運河は最終工事に向かって着々と進行していた。
 1914年、米国によって建設されたパナマ運河は20世紀最大の土木工事といわれ、21世紀の新運河完成は21世紀最大の土木工事とはまだいえないまでも最大の拡張工事とはいわれるだろう。

 パナマ運河の拡張工事は1999年に米国からパナマに返還される以前からあった計画だ。日本の建設会社も受注を巡って運河の浚渫などを請負っていた。中国、台湾の企業なども働きかけていたが拡張工事を落札したのはスペインの建設会社サシールを中心とするイタリア、ベルギー、そしてパナマの4社で構成されたコンソーシアムであった。落札額31億9200万ドル(3384億円)だったが、土壌地質などの問題が工事開始後に発覚するなどして、最終的には55億8100万ドル(5916億円)と約倍増してしまった。土壌地質などの問題は、パナマ運河建設に最初に鍬入れを行なったスエズ運河を開通させた“フランスの英雄”レセップスが挫折したおおきな要因のひとつだ。その意味でも難関をきわめた世紀の大工事といえるだろう。しかし、この差額の負担、支払いを巡って今後、通航料に跳ね返ってくる可能性もあり、中国についで実質通航量が多い日本 にとっても無視できない問題だ。実質、と書くのは周知のように船の船籍を税金の安い国で登録する便宜置籍船の問題があるからだ。パナマもSEGUMARという公益機関があって大きな収益をあげている。

 6月26日以前、外洋を航行する船は「パナマックス」を基準に建造されていた。
 パナマックスとはパナマ運河を通航できるように建造された船舶をいった。全長294.1メートル、船幅32.3メートル、喫水12.0メートルである。新運河は同366.0メートル、同49.0メートル、喫水15.2メートルが新たな「パナマックス」となったのだ。これによって貨物量で従来の3倍の量が行き来できるようになるといわれる。それを象徴するように新運河最初の通航船は新運河を象徴するように、従来の運河では通航できなかった9427個のコンテナを積載した中国船であった。(写真参照)

 また、新運河は従来の運河を遅滞なく運営しながら、運河建設当時の閘門(こうもん)の近くに建造されたものだ。今後も従来の運河は活用されてゆくので、これまで通航時間を大幅に緩和される。運河近くを走る一般道路で太平洋口のパナマ市からカリブ海口のコロン市まで車40分たらずの道を、船は待機時間をふくめ31.5時間も掛かっていた。太平洋側のパナマ港、カリブ海側のコロン港の湾内にはいつも通航待つ大小の船舶で渋滞していたが、それも緩和され、大幅に通航時間が短縮される意味は大きい。

 しかし、大幅な工事費の増加によって運河を管理するパナマの運河庁は通航量の値上げを示唆しており、また世界経済の冷え込みによる物流量の縮小によって今後、運河の通航量が飛躍的に伸びる可能性は必ずしも期待できない。
 また、パナマと同じ中米地峡に位置するニカラグアで、パナマ運河を通航するより時間を大幅に節約でき、より大型船の通航が可能な運河が内陸の巨大なニカラグア湖を活用した「ニカラグア運河」の建設がはじまっており、パナマ運河の特権的な位置も安泰とはいえない。この「ニカラグア運河」の建設には中国系企業が請け負っているが、まだ建設の“序章”の手前といった段階で、ニカラグアの政権交代、同国と中国の関係の希薄化によって、どうのように推移してゆくのかは疑問だ。
 近年の中国はアフリカ諸国への進出が際立つが、こうした運河建設を巡ってラテン アメリカ諸国へも意欲的である。 

☆余談だが、パナマ運河は海の大動脈として世界経済に貢献してゆくことには従来通りだが、運河はまたパナマ観光の目玉でもある。パナマ・シティに近いミラフローレス閘門には観客席が設けられた見学施設があり、目の前を巨船が上下動して、太平洋にむかっては下降し、大西洋に向かっては浮上していくさまは壮観である。今後、その壮観さはバージョンアップしたわけだ。今度、パナマに行く機会があれば、必ず再訪するだろう。運河そのものも客船にのって3回通航体験があるが飽きない。東京DLのアトラクションは所詮、遊戯、20世紀の大構築物をリアル体験するほうが感激は大きい。経済活動そのものがおおきなアトラクション化している稀有な存在でもあるのだ。

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