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韓国映画『弁護人』 若き日の蘆武鉉元大統領を描く

韓国映画『弁護人』 ヤン・ウソク監督
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 隣国というのはどの国にとっても疎ましい存在となるものだ。その疎ましさを自覚しつつ国政にあたるのが善き指導者となるのかも知れない。隣国であるが故、歴史的な相克は累積するし、隣国の歴史や文化、風俗などは折りに触れ、生活に入り込んでくる。近隣住民に隣国の知人や友人をもっていたり、仕事仲間にも存在するというのは日常的な光景だろう。そして、その隣人とひとたび齟齬をきたすと、その人の属性としての国籍がひとり歩きしたりする。

 日本にとっての最隣国はいうまでもなく大韓民国。公共交通の表示板などにハングルが表記されるぐらい多くのビジネスマン、観光客が訪問しているということである。ちょっと前まで韓流ブームというのがあった。大久保の町はそれで大いに賑わっ たが、いまはすっかり潮がひいた秋の浜辺だ。溢れんばかりに韓国映画も入ってきて、六本木には専用映画館化した小さなシネコンまであったが、2年ほど前に閉館してしまった。必然、韓国映画を観る機会は減ってきている。私的にいえば、少々、韓国映画には食傷気味であった。韓国料理のこってり感そのままという感じのクドイ表現にうんざりした。そうゲップが出るほどだった。今でも、多くの試写状が舞い込むが、すっかり厳選して行くようになってしまった。
 というわけで久しぶりに試写室に足を運ぶことになった韓国映画が『弁護人』(ヤン・ウンク監督)。韓国では屈指の演技派として知られるソン・ガンホ主演。この映画を選んだのは、クレジットで若き日の蘆武鉉元大統領の若き日を描いていることを知ったからだ。
 観映後、蘆元大統領(任期2003~08)の履歴を調べ、映画の起承転結を振り返る。映画特有の作為、都合よく折りたたまれているエピソードもあるが、ほぼ事実を象徴化していることを知った。と同時に開発独裁型のスーツを着た軍事独裁政権下にあった韓国の政治状況というものが、庶民の目線から描かれている点に好感がもてた。韓国の大統領は毀誉褒貶も含め、独立期、朝鮮戦争時代、開発独裁時代、民主化時代と・・・それぞれ実に個性的な人たちが主導していたことが分かる。
 蘆武鉉青年・・・日雇い仕事に汗しながら刻苦勉励の末、司法試験に合格、若き弁護士として“実業”の世界に船出する。実業を強調するのは法廷での活動より、不動産関係の手間ひまの掛からない法的処理の便利屋として実入りの仕事を選科にこなしていたからだ。そう、開業当時の蘆弁護士は政治にまったく無関心、ノンポリ個人主義者、金儲けのためならプライドを捨てることも厭わない。そんな拝金主義者の面もあった。もちろん彼にも韓国人としての誇りはあった。しかし、それは歴代政権が韓国人はかくあるべしという路線に順応するもの で、資産は出来た、これからも増えるだろう、ならば来たるソウル五輪のために、選手層の薄いヨット競技に国を代表して出場し、メダルを獲って国威発揚に貢献したと、余暇をセーリングに捧げるような男であった。それもまた個人の生き方だ。

 そんな若き弁護士に転機が訪れる事件が起きた。
 懇意していた焼肉屋の息子が北朝鮮のスパイ容疑で拉致・監禁され拷問の末、捏造された反政府活動家として自白を強要されたのだ。この事件の真相解明に取り組んでいくなかで人権派の弁護士として転進し、やがて左派新自由主義者として国民の支持を受け、大統領に選出される。映画は、学生に掛けられた冤罪を究明する裁判劇がクライマックスとなる。
 いまさら、韓国現代史の一こまを活字で勉強するのは面倒だと思う人たちには好個のフ ィルムだが、制作から3年目にして日本公開がきまったという時差そのものが、今日の日韓間の冷え込みを象徴しているかも知れない。
 ▽11月中旬、東京地区公開予定。

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