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瞽女を描く その2 木下晋の鉛筆画

瞽女を描く その2 木下晋の鉛筆画
木下晋 002

 黒、は精神の深奥を覗き込むに相応しい色。鋭利の刃物のような色でもあり、また人知れず闖入する狡猾さもそなえた色なのかも知れない。 モノトーン、現代絵画に謀反を興すかのように鉛筆の先で精緻な描写を展開し、人の肺腑を抉るような画家・木下晋の世界は峻烈だ。自己に厳しい世界だ。
 木下は皺に履歴を刻印した老人たちを追い描く。のっぺりとした手業の輪郭線だけで処理できるような若者は描かない。まるで皺にドラマをみるように皮膚に溝をつくって描きだす。
 その一連の木下の世界に、越後瞽女小林ハルを描いた連作がある。全貌は知らないが、「97歳のいきざま」(1997)という表題をもつ肖像には魅かれる。すでに雪深い山道を素足で経巡った「角付け」業から引退して長い歳月を経て、その時期は老人ホームのようなところで暮らしていたはずである。しかし、画家は〈元ごぜ〉とは書かない。ごぜの魂をそのままに老いゆくハルを描く。当時、ハルさんは瞽女歌を録音している。それはマイクを前にした「角付け」であった。ひとりでも聴衆がいれば、それは真剣勝負の世界 となる。木下のハルさんは、白髪を短く切りそろえ、昔日の面影はないが、いまも厳しく身を律して過ごしています、という自己に厳しい姿勢をうかがわせる肖像だ。ハルさん、とは書かれておらず、下向きの姿勢で表情がうかがえない老女図に「胎内回帰」という同年の制作画像がある。画家は、まもなく黄泉の世界に旅立ち、こんどは晴眼者としてどこかに再生するだろうと願っているような絵だ。<
 「小林ハル展」と謳った個展を新潟で開いているが、東京あたりでもやって欲しいと勝手に思っている。
 ごぜさんの絵というと斎藤真一さんが連作したような、「角付け」行脚の制服としての旅装図であるが、木下は自分がみていない旅装を想像や資料で描こうとは思わない。

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