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花もつ女たち №.73 小倉遊亀(日本画家*1895~2000)

小倉遊亀 (画家*1895~2000)
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 20世紀という激動の時代、年号でいえば明治、大正、昭和、そして平成の世までまるごと生きた画家。104歳の現役の画家としてパリで回顧展を開き賞賛された才能。老いることに抵抗するのではなく行く川の流れをわが身にみるように眺望しながら生ききったひと。
 代表作として知られる幾多の人物像などを差し置き、101歳の秋に仕上げた作品「マンゴウ」を取り上げるのは、生涯点数も多く、たぐいまれな軌跡を描いた閨秀(けいしゅう)画家を象徴するには不適当だという声も出るだろう。それを承知での引用だ。その理由は、創作にかける表現欲求を生涯、枯渇させることなく筆をとりつづけた画家の宿 命というものは、この絵に明晰に留められているように思うからだ。この絵にはいささかも老醜のたわみもなければ隙もない。画面の隅ずみまで画家の充実した観照の世界、そのひろがりを感じさせる。この絵については完成まで身近にみていた孫・小倉寛子さんの貴重なルポ的エッセイがあって、遊亀という画家の天性の資質をみる思いがする。
 遊亀という雅号をもったとき、さすがに「亀」ほどの天寿を迎えるほどになるとは思っていなかっただろう。けれど亀のごとく心置きなく絵筆で「遊」ぶ余裕は失わないように心がけたであろうか・・・。
 世間的な評価では「O夫人坐像」(1954)、「裸婦」(55)、「小女」(57)、「母子」(62)、「兄妹」(64)といった表題から もうかがえるように穏やかで親密な人物像に傾斜して当然なのだが、子どもたちの肌の色艶を描き出すアンチミストな筆の緊張や、筆先へその心情をつたえる感動のそよぎは、「マンゴウ」でもいささかも損なわれていない。もちろん、「マンゴウ」以前にも果物皿やさまざまな形態の器にもられた果実群の絵を繰り返し描いてきた習練の賜物でもある。「マンゴウ」は、その年、院展にも出品し世評を仰ぐことにもためらわなかった。そういう101歳を迎えてなお現役であることに自覚的であった。
 「マンゴウ」図は世評もたかい人気図になって木版画に複製されて流布することになったし、某作家の小説集の挿画にもなった。
 101歳の創作が雄弁な説得性を備え、広く迎えられた、そのこ とも美術史において特筆される記録だろう。

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