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南米コロンビアに二個目のノーベル賞  52年間の内戦を和平に導いたサントス同国大統領へ平和賞

南米コロンビアに二個目のノーベル賞
 52年間の内戦を和平に導いたサントス同国大統領へ平和賞


 今年のノーベル平和賞は南米コロンビアのファン・マヌエル・サントス大統領に授与される。ノルウェーのノーベル賞委員会の選考理由は、「50年以上にわたる内戦の終結のための尽力」に対する評価。しかし、授与発表の直前、同国有権者は、「停戦合意をめぐる国民投票」で反政府武装組織・コロンビア革命軍(FARC)に譲歩し過ぎているとして僅少差で合意を否決。同賞委員会はその結果を承知で授与した。そこには、停戦に向け更に奮闘努力せよ、という強いメッセージがこめられている。
コロンビア ノーベル 左からサントス大統領、ロンドニョ司令官。
 コロンビアにとってノーベル賞受賞は二度目。1982年、ラテンアメリカ文学の豊潤さを知らしめた作家ガルシア=マルケスに文学賞が贈られている。そして、二つのノーベル賞は同国の暴力的な風土に根ざす。マルケスの代表作『百年の孤独』はユネスコで20世紀を象徴する文学の代表作として認定されているが、作家は同国の混迷を架空の町マコンドの年代記に託して魔術的リアリズムの手法で描いた。そして、マルケス自身、同国の暴力的風土を避けメキシコ市に移住し、母国の和平を見ることなく流浪の地で没した。
 余談だが、筆者が中米に滞在し、もっとも域内を旅していた1990年代、最安値の航空券といえばアビアンカ航空であった。コロンビアのフラッグキャリアである。同国の内戦、麻薬組織の暗躍などがブランド力を落としていた。80~90年代に掛けて多数の死者を出す事故も起こしていたし、バックパッカーの情報網は、国内便はハイジャックされる可能性も高いし、地方空港ではゲリラの攻撃すら受けるかもしれない、とまことしやかに噂されていたのだ。しかし、グァテマラのアビアテカ航空、エル・サルバドルのタカ航空などは国内の内戦を尻目に収益を上げていた。といわけでアビアンカも格安ということで利用されていた。

 ノーベル平和賞はいうまでもなく政治的な賞だ。
 ラテンアメリカでいえば1987年、中米諸国の内戦終結にむけた功績ということでコスタリカのオスカル・アリアス大統領(当時)が受賞した。しかし、中米諸国の内戦はそれ以後、10年前後、継続した。昨年は、いわゆる“アラブの春”を主導したチュニジアの民主化運動「国民対話カルテット」に、「多元的な民主主義を構築」したとして授与しているが、現実問題としてイスラム厳格派・サラフィー主義との対応に混迷しているのが実情だ。今年、任期を終えるオバマ米国大統領は2009年に受賞している。任期1年も迎えていない、これから実績を積み上げていく初年度に授与した 。世界を主導する国家元首として任期中、平和化に奮闘努力せよというメッセージであった。
 停戦合意までまだ幾多の紆余曲折が予測されるなかで、サントス大統領に授与された。
 コロンビア和平問題はアルゼンチン出身のフランシスコ法王が2013年に選出されて以来の宿願で、そのため多くの時間を割いてきたし、そのための長足の旅も厭わなかった。同法王の行動力はポーランド出身のヨハン・パブロⅡ世の事蹟を追うようとしている観がある。また、キューバ政府が和平交渉の場を提供しつづけたことも注視する必要があるかも知れないる。これまで、たとえばエルサルバドル内戦の和平交渉の場はメキシコが提供していたが、国内の麻薬組織とのいわゆる“麻薬戦争”の激化で、政治的余裕を失せているのかもしれない。

 内戦を終結させるためには敵対する両勢力の強い意思と行動が必要だ。サントス大統領はFARCに対する政府軍の最高司令官。そしてFARCには、ロンドニョ司令官(別称ティモシェンコ)が存在する。今回、ノーベル賞委員会はFARCを無視した。それが吉にでるか凶と出るかわからない。しかし、かつて平和賞は、パレスチナ問題の解決に向けて1994年、パレスチナ解放機構のアラファト議長と、イスラエルのシモン・ペレス大統領とラビン首相に与えた実績があるように、紛争国家には双方に与えてきている。南アフリカでアパルトヘイトが撤廃されたときも、北アイルランド紛争の和平にむけたプロセスでも相対する政治家に授与している。
 ロンドニョ司令官、FARCを無視したのは内戦下、人道的な犯罪を主導したというような「作戦」行為への批判かも知れないが、それをいうなら歴代のコロンビア政府軍もまた超法規的殺人を重ねてきたはずだ。また、同国の宿痾(しゅくあ)である麻薬密売との関わりは双方が責任を負うべき問題でもある。

 決定的な敗戦を受け入れて銃を置くのではない。戦う余力があるときに銃を捨てるには大義名分が必要だ。前線にたって生命を賭した一兵士を納得させるためにも“名誉”が必要だろう。
 FARCが麻薬密売に関わっているという批判は同時に、歴代コロンビア政府が麻薬密売組織と関わりを持っていたという批判にもなる。内戦は法のおよばない地域が広範に生じることだ。コロンビアのGNPは公表されている総額の約倍はあるといわれてきた。麻薬密売にともなう地下経済が蓄えた利益は国家税収に貢献していなかった。

 現在、メキシコでは苛烈な「麻薬戦争」が政府と密売組織とのあいだで戦われているが、その麻薬の大半はコロンビアから流入し、さらに北上して米国入りする。コロンビア和平とは米州全体の懸案であることをノーベル平和賞委員会はどこまで承知していたであろうか? 希望があるとすれが、受賞者とはならなかったロンドニョ司令官に主導されるFARCの譲歩、寛容さの発現となるかも知れない。寛容さを引き出す手法として今回のノーベル賞委員会の選考は大局を見失っているのではとも思う。

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