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下山静香ピアノ 「ガスパール・カサドの世界」

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 ラテンアメリカを代表するクラシック畑の作曲家といえばブラジルのヴィラ・ロボスが独り際立っていて、メキシコのカルロス・チャべスといったメキシコ民族派の存在はいきなり小さくなり、最近はアルゼンチンのアストル・ピアソラの作品をヨーヨー・マが採りあげ一躍、現代の代表的な器楽曲として頻繁に採りあげられるようになったぐらいか……といった現状のなかで、ラテンアメリカとスペイン音楽に執着し、その紹介に傾注する稀有(けう)なピアニストに下山静香がいることを紹介したい。1999年に文化庁派遣芸術家在外研修員としてマドリッドに赴き、アルベニス、グラナドス、ファリア、モンポウなど近代スペインの主要な作曲家を研究し、演奏活動も同地で重ねるなかで「スペインの心を持つピアニスト」と呼ばれるようになった才能だ。
 そんな下山が日本に活動の拠点をおいてから取り組みだしたのが、「スペイン・ラテンアメリカ室内楽シリーズ」。日本でほとんど紹介されることのなかった作曲家、作品を積極的に採りあげていこうという野心的な試みである。その第二回公演を聴いた。
 主要プログラムは、パブロ・カザルスの直弟子として知られるガスパール・カサドのチェロ曲が中心だった。下山がソロで弾いたのは第二部の冒頭で、「ハバネラ『4つのスペインの小品』より)」のみで、ほとんどをチェロ曲の伴奏者として通した。自身チェロの名手であったガスパールが手練の楽器のために多くの作品を書いたのは必然であって、秀作もチェロ曲に集約されているのなら、その魅力を伝えるには自分は控えにまわらなければいけない、という紹介者の節度を潔く保っていた。その姿勢は鮮やかだった。
 チェロはスロヴァキア出身で1990年から日本に活動の拠点をおいているルドヴィート・カンタ。日本での初演曲が大半と思われるガスパールの世界を情熱的な解釈で華やかに弾奏して、色彩感のある世界を造型していた。聴きながら率直に思ったことだが、現代音楽のせん病質な細さにも無縁なら、幾何学的な構築性の誘惑にも抗しているガスパールのロマンティシズムは心地よいものだ。しかも、そのロマンティシズムはまったく媚びた気配のない品格のあるものだ。その意味では日本のチェリストももっと注目してよい作品だ。聴衆の多くがガスパール音楽をカンタの情熱的な解釈を通して体内に染み込ませたと思う。それだけでも下山の企図は成功しているだろう。次回の下山のプログラムが楽しみである。
 
 *11月26日、飯田橋・トッパンホール。   

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